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„Vom kleinen Maulwurf, der wissen wollte, wer ihm auf den Kopf gemacht hat.”

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前回日本の絵本について書いたので、今回はドイツの絵本を一つ紹介したい。

Vom kleinen Maulwurf, der wissen wollte, wer ihm auf den Kopf gemacht hat.” Werner Holzwarth / Wolf Erlbruch

とても長いタイトルの本だが「うんちしたのはだれよ!」という邦題で、日本語版も出版されている。30以上の言語に翻訳され、世界中の子供に読まれている大人気な本。挿絵を描いたWolf Erlbruch ヴォルフ・エールブルッフは、2003年ドイツ児童文学特別賞、2006年国際アンデルセン賞受賞など、ドイツで有名かつ重要な絵本作家で、本屋の絵本コーナーでは彼の本を何冊も見かける。独特の色鉛筆のタッチとコラージュの手法、斬新な構図・色使いで、たくさんの絵本の中からも、この作家の絵はとても目を引く。

頭の上に誰かのうんちが落ちて来て怒ったモグラが主人公で、「君がやったの?」と次々出会う動物達に質問していくというストーリー。絵本の動物というと、どうしても平面的でかわいらしく描かれたものが多いが、この本の中の動物達はユーモラスには描かれているけれど、リアルな表現で媚びたかわいらしさがない所に私は好感を持っている。ウサギの身体からはしっかりした脚力を感じるし、牛の乳には血管さえ透き通っているのが見える。

そしてモグラという地面を這いつくばっている小さな生き物の視点がよく表現されている。馬や牛などの動物は全身が描かれておらず、顔と足だけ見せることでその大きさを表している。小さいものが大きいものを見上げるという観点に関しては、子供の視線に近いのではないかと思う。うちの娘はこの本を読んでいる時は、動物の足だけをアップで見る機会など普段あまりないからか、よく「あしー。あしー。」と言っている。

子供と生活していると、排泄物は毎日とても重要になる。健康のバロメーターだし、身体の機能を学んでいくのに欠かせないテーマである。この本は動物は種類によってそれぞれ違った形のうんちをするということを、とても自然に面白く教えてくれる。そして話の最後の展開がおかしくてかわいくて笑える。ドイツでは様々なサイズの絵本、アニメーション、人形劇などにも展開されている。

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# by mikimics | 2013-02-16 16:39 | picture book | Comments(0)

„めしあがれ” 視覚デザイン研究所 作 高原美和 絵

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2011年春に長女を出産して子供と生活するようになってから、未知の世界と出会い新しいドイツ社会とも知り合った。育児を通して感じたことも少しずつここに残しておきたいと思う。特に娘のおかげで知り合ったすばらしい絵本も紹介して行きたい。

めしあがれ” 視覚デザイン研究所 作 高原美和 絵

「ホットケーキめしあがれ」「シュークリームめしあがれ」とすべてのページには短い言葉しかなく、あとは画面全体に愛情深く丁寧に描かれたお菓子が広がっている。ページをめくるたびに美味しそうなお菓子が出てきて幸せな気持ちになれる絵本。挿絵を描いた水彩画家高原美和さんは私の大学時代の同級生。昨年日本に里帰りした時に、ちょうど出版されて間もないこの絵本を娘にプレゼントしていただいた。

私はこの絵本の中の絵は「イラスト」ではなく「絵画」だと思って眺めている。美和さんは限りなく実感を出すために、モチーフは用意されたものに加えて、できるだけ自分でも探し、作れるものは作り、できたての一番美味しい状態の時にスケッチしたと話してくれた。イチゴの光沢も、ケーキのスポンジのふわふわ感も、クッキーの香ばしさも、技術だけでなく本当に心をこめて描かないと、こうは美味しそうにならない。そして食器や背景もとても気配りされていて、例えばほとんどのページにスプーンやフォークが出てくるが、これが毎回デザインも材質も違う。このフォークはうちのと似てるね、こんな柄のカップもあったらいいね、なんて食べ物以外のものについても娘とよく話す。

またこれは現在の日本のお菓子文化を紹介した本だとも思う。そういう意味でもドイツで生まれた独日ダブルの娘にはずっと読ませ続けたい。ドイツではクリスマスケーキというものは存在しないし、もちろん似たような揚げたお菓子はたくさんあるけれど、穴の開いたドーナツを食べることもほとんどない。お団子とおせんべいを描いた和菓子の絵が一枚あり、良く知っているのに随分ご無沙汰していた風景を見たようで、私にはグッと来た。ミスタードーナツを懐かしく思い出し、お団子を口に入れた時の柔らかい感触、固めのしょうゆせんべいをかじった時の歯ざわりや音を想像した。さすが視覚デザイン研究所から出版された本だけあって、視覚から触覚・味覚・嗅覚・聴覚すべて刺激される。文章が少なくて絵で見せる本なので乳幼児から楽しめるし、内容・大きさ・価格、すべてにおいてぜひお勧めできる1冊だと思う。

1冊の絵本を通して子供の成長を知ることができるのも面白い発見だった。いただいた3ヶ月前に見たときと比べると、娘の語彙は随分増え着眼点もかなり変わった。これからまだまだ変化するのが楽しみである。
またデュッセルドルフ在住の方は、Nordcarree 10 の畳が敷いてあるユニークなキンダーカフェ Pantakeaの本棚の中から、この本を見つけることができます。

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# by mikimics | 2013-02-10 11:28 | picture book | Comments(0)

„David Hockney. A Bigger Picture” Museum Ludwig, Köln

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今週末で終わってしまうDavid Hockney デヴィット・ホックニーの展示を観に隣町ケルンへ。
ケルンはデュッセルドルフから電車や車で30分ほどで行けるのに、住んでいるとなんとなく近くて遠い町。また過去に戦争の歴史もある両都市は仲が悪いことになっていて、デュッセルドルファーやケルナー達は半分冗談でお互いのことを悪く言い合ったりする。でもドームほどの重要建築物や大規模な美術館群はデュッセルドルフにはないので、たまに訪れるといつも充実した時間が過ごせる。

この展覧会はロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで65万人の動員数を越えた後、ビルバオのグッゲンハイム美術館に巡回し、昨年10月末よりケルンのMuseum Ludwig ルードヴィヒ美術館で展示している。今年で76歳になる高齢な画家の仕事とは思えない多彩で巨大な作品ばかり。主に風景を描いた油絵・ドローイング・ビデオ・写真コラージュそしてiPadのスケッチまで、新技術にも貪欲に挑戦する姿勢、様々な媒体で表現してもすべてホックニーワールドにしてしまう力量はさすが。新しい展示室に入るたびに新鮮な驚きを与えてくれた。

同じ場所を時間や季節を変えて描いたシリーズが私は好きだったが、そのテーマで制作されたビデオ作品の部屋はまた印象的だった。複数のカメラを車に取り付け同時に回してゆっくり移動しながら撮影されたもので、平たく言えば動く風景画。退屈になりぐずり始めた1歳9ヶ月の娘も、思わずその部屋では静かになり画面に魅入っていた。私も自分がその風景の中で歩いているような、まるで風や音を感じたような新鮮な気持ちになった。ビデオ作品も平面大作もスクリーンやキャンバスを分割して繋ぎ合わせ大画面にした方式が多く、複眼的&総合的視点を同時に表現することができないか考えている私にとっては、とても共感できるスタイルだった。

展示方法もすばらしく、展示のために塗られた茶色の壁も空間作りも成功していて、階段を全部登って初めて見える作品があったり大変上手く演出されていた。また個人的には制作の基となるスケッチブックそのままの写生展示も、実際の風景を前に現場で取材した息づかいが感じられて面白かった。展覧会のタイトル „A Bigger Picture”-より大きな絵- を目指して常に動き続け挑む姿勢に心打たれる。貪欲でパワフルなのに、軽快で鑑賞者を疲れさせないのはまさに彼のマジック。

帰りは仕事の後車で迎えに来てくれた夫とアルトシュタット(旧市街)のビアホールへ。デュッセルドルフではあまり大声で言えないけれど、ケルンの地ビールKölsch ケルシュもとっても美味で満足。

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# by mikimics | 2013-02-02 17:07 | museum | Comments(0)

„Andreas Gursky” Museum Kunstpalast, Düsseldorf

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自宅から歩いて10分ほどで行ける美術館Kunstpalast クンスト・パラストへ行き、Andreas Gursky アンドレアス・グルスキー展を鑑賞。グルスキーは1955年生まれのドイツを代表する世界的に有名な写真芸術家。巨大で圧倒的スケールの作風で、俯瞰した風景、群集などをテーマに、実際に撮影した画像にデジタル加工を施して、現実を基にした虚像を制作。創られた画面からは、グロバリジールングや消費社会など、現代社会の姿を見せ付けられ考えさせられる。

彼の言葉
„Es ist keine reine Fotografie, was ich mache. Alle meine Bilder beruhen auf einer direkten visuellen Erfahrung, aus der ich eine Bildidee entwickle, die im Atelier der Prüfung ihrer Bildwürdigkeit unterzogen und schließlich am Computer ausgearbeitet und präzisiert wird.”
私がしていることは純粋な写真ではない。すべての私の絵は、私が絵のアイディアとして発展させた直接的視覚的な経験に基づいている。それは、アトリエでその画面価値を検査し最終的にコンピューターで創り出し明確にされたものである。

これまで何度も彼の作品は様々な所で目にして来たが、構図も発色も私には少々人工的な印象で正直それほど好みではなかったけれど、少し観方が変わった。巨大な画面の中の部分部分を見ながら、一見クールで洗練された作品の背景にどれだけの緻密な仕事が重ねられているかを想像すると、その作業は面相筆で地道に紙の上に細密描写をするのと何も変わりはないのではないかと感じた。

日本人としては、„Kamiokande”(岐阜県の地下1,000メートルにある研究施設「カミオカンデ」を撮影したシリーズのひとつ)が展示してあったのが嬉しかった。黒い背景に浮かぶ無数の金色のドットが神聖で美しく、どこか宗教的な印象を受け、ふと三十三間堂の千体千手観音立像を思い出した。

グルスキーは2010年よりDüsseldorf Kunstakademie デュッセルドルフ芸術大学の教授であり、この大学も美術館のすぐそばにある。休日だったこともありかなりの人の入りで、私達もベビーカーを押しながらの鑑賞だったが、家族連れも多く、大人から子供まで市民からどれだけ誇りに思われている作家かを感じた。大画面の中の小さな人を一生懸命探している子供もいたり、意外と子供も楽しめる作品群かもしれないと思った。

このクンスト・パラスト美術館は、昨年のEl Greco エル・グレコ展といい、とても良い企画展をする。エル・グレコ展は今日本でも東京都美術館で開催中。アンドレアス・グルスキー展も今年7月より国立新美術館にて開催予定。
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# by mikimics | 2013-01-28 09:30 | museum | Comments(0)

„Edgar Degas” Fondation Beyeler, Basel

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先週末は家族でフライブルグで過ごし、日帰りでスイスのバーゼルへ。
バーゼルでぜひ訪れるべき美術館ということで、Fondation Beyeler バイエラー財団美術館を訪れ、Edgar Degas エドガー・ドガの企画展を鑑賞。会期終了間近ということもあり、かなりの人の入り。

ドガといえばやはり「踊り子」
中学の美術の教科書にも載っているほど有名な作家だし、これまで様々な美術館で観る機会はあったので、それなりに作品は知っているつもりでいたが、実は大して知らなかったとかなり衝撃を受ける。確立された作風に甘んじず、新しい画題、表現方法に常に挑戦し続ける作家だったのだと、その姿勢に心が打たれた。

この展示はドガの後期作品を、世界中の美術館や個人コレクションから集めたもので、パステル、油彩画に留まらず、彫刻作品、当時にしては超最先な写真作品なども展示してあり、ドガの作品をあらゆる角度から紹介していた。
バレリーナや入浴する女性など、常に動いていて次の瞬間には全く違った動きをしている人体を、画面に写し取り永遠の絵画にした作品群は本当に達人技。動く人間がテーマなものが多いので、人体の角度も様々、おのずと構図もバラエティー豊富。そして印象派特有の美しい色彩で彩られた画風。色の層がうかがえ、作家の手仕事がダイレクトに感じられるパステル画の方が、油彩よりも私には魅力的に映った。

Renzo Piano レンゾ・ピアノ氏設計のバイエラー財団美術館
(2013年2月15日まで改装中のため、常設コレクションは閉館)
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# by mikimics | 2013-01-23 09:21 | museum | Comments(0)

ごあいさつ

2007年4月よりドイツ・デュッセルドルフに在住しています。

ヨーロッパの中心という地の利を生かしてこれまで巡った土地や感動したことなど、日々出会い感じたことを残したいという思いから、このたびブログを開設いたしました。

魚座A型、一児の母です。日本画で作品を制作し、日独で活動しております。
私の制作活動についてはWebsite of Miki Teraoをご覧下さい。
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# by mikimics | 2013-01-21 23:00 | information | Comments(0)