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ひらがなとアルファベット

子供が生まれて最初の5年は言語やコミュニケーション能力が成長する大事な時期とよく聞くけれど、娘が5歳になって感じるのは、想像していた以上に5歳児の語彙数は豊富で、会話力も高度だということ。
さらに私は娘が4歳までは特に感じなかったのだが、5歳になってからはドイツ語に関しては彼女にはもうかなわないと思うことが増えた。もちろん大人が使う難しい単語はまだまだ知らないけれど、発音や流暢なしゃべり方は完全なネイティブスピーカーに成長した。特に歌を聴いて覚えるスピードには全くかなわない。彼女は耳で聴いた音をすぐに同じように口からドイツ語の言葉で歌うという、私には容易にできない芸当をいとも簡単にやってのける。

でもそんな娘は「話すのはドイツ語の方がずっと得意だけど、書くのや読むのは日本語の方が得意なの。」と最近自分で言い出した。そんなこと私達は彼女に言ったことはなかったし、そういう自覚があるのだということに驚いた。確かに日中は私と二人でいることが多いし、ドイツ語はどうせ今後ずっと学校で勉強する言葉だから、今は家でドイツ語よりも日本語の読み書きを多く教えているかもしれない。6歳になって現地小学校に入学したら、きっと独日語の読み書きのレベルも逆転するだろうから、これは5歳の今だけの現象なのだろうなと思う。


でもそれに加えて、この現象はもしかしたら日本語とドイツ語の言葉の特徴 -ひらがなとアルファベットの違い- も影響しているかも知れないとも感じる。
ある日、日本から届いた小包の段ボール箱(「りんご」と印刷してあったもの)を娘が見て、「り、ん、ご、、、あ、これ『りんご』って書いてあるよ!」と嬉しそうに言った。「り、ん、ご」というひらがなの並びで、果物の「りんご」という意味になる、ということを実感できた瞬間で、読み方のシンプルなひらがなの長所を感じた。
でもこれはドイツ語になるとそう簡単にはいかない。りんごはドイツ語で「Apfel(アプフェル)」、A、P、Fなどのアルファベットが全部読めても、綴りを覚えない限り、5歳の子供が自発的に読むのはなかなか難しい。

日本語はひらがな、カタカナ、漢字と3種類の文字があって、世界的にも難しい言葉だと思う。でも最初に、一文字で一発音と決まっているひらがなを全部覚えてしまえば、ひらがなだけの文章なら5歳の子供でもひとりで読めるようになる。比べてみてドイツ語や英語など、約30種類のアルファベットで成り立つ言語は、文字の種類ははるかに少ないが、その組み合わせが無限で発音も複雑、単語の綴りを知らなければすぐに理解できない。それは学校で習わなければ習得しづらいので、未就学児が文章を読むのは難しいと思う。
この理由からか、日本人の子供は一人で絵本を読むようになるのが比較的早いと聞いたこともある。
お手紙を書くのが好きな娘も、発音した音をそのまま書けばいいひらがなは書き易いらしく、もちろん間違いも多いがよくひとりで書いている。「げんき?こんどあそぼう !」なら書けるけれど、「Wie geht's? Spielen wir bald mal!」はとてもひとりでは書けない。


ドイツ人に時々「日本語」について質問されることがあるが、大抵皆「漢字」を沢山習うことは知っていて、日本人が義務教育で習う漢字は合計約2,000語、というといつも驚かれる。敬語や男性語と女性語の違いなど、他の言語にはない特徴もあって、日本語ほど難しい言葉はないのではという話はよく聞くし、私もそう思っていた。でもドイツ語も特に文法がとても難しい言葉で、9年住んでも(きっと一生)、まだまだこんなものかと落胆することも多い。
ひらがなとアルファベット、子供が最初に出会う文字でも成り立ちが全く違う。一言で難しいといってもそれぞれの言語の難しさは多様で、難易度を計ることも比べることも出来ない気がする。私も子供を産まなければ、ひらがなの易しさ、利点なんて改めて考えることもなかった。今後娘が入学したら、どのような過程を踏んでドイツ語の読み書きを習得していくのか、それを観察するのも楽しみである。

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by mikimics | 2016-12-06 17:55 | language | Comments(0)