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„Hilma af Klint - Eine Pionierin der Abstraktion” Hamburger Bahnhof, Berlin

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先日用事がありベルリンへ行った。たまに訪れるベルリンは本当に魅力的だとつくづく思う。町も建物も大きく文化の重みを感じる。ベルリンに行くと必ず立ち寄る美術館Hamburger Bahnhof - Museum für Gegenwart ハンブルガーバーンホフ - 現代美術館へ4年ぶりに訪れた。ここは「ハンブルグ駅」という名の通り、旧ベルリン・ハンブルグ鉄道の駅舎だった建物を改築し1996年に開館した美術館。中に入り中央に進むと、この美術館のメインの大空間が現れる。元はヨーロッパによくあるターミナル駅 - ここに立つといつもフランクフルトやミュンヘン、パリの駅のことなど思い出す。昔も今も、目的は違うけれど世界中から多くの人が集うこの場所は、やはり特別だと思う。

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今回は事前に興味を持った特別展„Hilma af Klint - Eine Pionierin der Abstraktion” 「ヒルマ・アフ・クリント - 抽象のパイオニア」を観に来た。スウェーデン女流画家Hilma af Klint ヒルマ・アフ・クリント(1862-1944)は、未知の作家だったが、今年のヴェネツィア・ビエンナーレにも出品されていたり、近年再評価されているらしい。この展覧会はストックホルム近代美術館からここベルリンへ来て、この後はマラガピカソ美術館、デンマークのルイジアナ近代美術館へ巡回する。

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1階の展示は初期の丁寧な植物スケッチや風景画などから始まり、19世紀の終わり頃に抽象的な仕事に移り変わる過程が展示されていた。自然主に植物をモチーフに、その動きや形の流れから精神的神秘的な世界を表現しようと模索する様子がうかがえる。ドイツ語で書かれた制作メモノートもとても興味深かった。なぜドイツ語なのかと思っていたら、あの人智学者Rudolf Steiner ルドルフ・シュタイナーと出会い、作品へかなり影響を受けたと説明があった。また展示室はJoseph Beuys ヨーゼフ・ボイスの部屋へ進み、彼もシュタイナーの思想を意識した作家と紹介されており、一見全く結び付かない二人の作家の作品を、シュタイナーに影響された作家達という共通点でコラボレーションさせていた。

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余談になるが、日本でも「シュタイナー教育」は有名で、とかくポジティブな印象を持たれているが、ここ本国ドイツでは少し異なり、彼の思想についてはかなり賛否両論で、外国人である私が軽々しく話題にすべきではないということを、私は様々な場面で学んだ。でも彼の哲学がドイツの教育、芸術、医学、農業、建築、さらには化粧品製法まで、あらゆる分野に与えた影響は計り知れない。この展覧会でも思いがけずシュタイナーの名前を目にし、改めてこの天才の偉業を感じた。


2階に進むと円熟期の作品が並ぶ。全体的に同じテーマ同じサイズで何枚も描かれた連作が多く、観ているこちらも深く世界に浸れる。1907年に制作された„The Ten Largest” の展示は圧巻。320x240cmという巨大な絵が10枚並び、それぞれ人間の幼少期、青年期、中年期、老年期がタイトルになっている。花や植物を思わせる形態、円や楕円、記号化された文字などが自由に組み合わせれていて、パステルカラーの淡い色調がとても美しい。一見ポップな印象だが、黒や紺など重い色も効果的に置かれていて、陰を感じる部分も必ずある。100年以上も前の作品とは思えず、そして私はとても女性らしさを感じた。

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死後20年後以降に作品を発表すること、また作品は完全に揃った連作で展示すること、ということが彼女の遺志だったそうで、1980年代に初めて作品が世間の目に触れたとのこと。その強い意志、そして作品を受け継ぎ、遺言通りに世界に発表した家族や協力者の努力に感服する。20世紀初頭、カンディンスキーやモンドリアンよりも前に抽象画を切り開いた、時代を先行した作家の仕事は、21世紀の今の私たちに自然に感動を与えてくれる。
by mikimics | 2013-10-03 19:18 | museum