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„Wolfgang Tillmans” K21 Ständehaus, Düsseldorf

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今月初め、町の中心南にあるK21 Ständehaus K21州立美術館を訪れた。州立美術館はデュッセルドルフに2つあり、北にK20美術館、南にK21美術館がある。KはKunst「アート」を意味し、それぞれ20世紀の芸術作品、21世紀(正確には1980年以降)の現代美術を所蔵している。このK21州立美術館は、以前は州議会議事堂として使われていた19世紀の建物を改装し2002年に開館した所で、町の中心にありながら静かな公園と池に囲まれたロケーション、クラッシックとモダンが融合された建築に、訪れるといつも新鮮な気分になる。特にガラスドームからデュッセルドルフの町並みが一望できる最上階は、展望できるだけでなくいつも面白い企画がされている。

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世界的に有名なドイツ人写真芸術家Wolfgang Tillmans ウォルフガング・ティルマンズ展。過去25年間の200点を超える作品を集めたこの回顧展には、6万人もの来場者があったそう。数々の代表作が出品されていたことに加え、これまで未発表だった初期のドローイングや80年代後期作品などを展示していたことでも話題だった。企画展示場の地下への階段を降りるとまず天体のテーマにした部屋が現れた。

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ポートレート、風景、静物など日常的な写真のシリーズ、絵画的抽象的イメージ作品、社会的メッセージを含んだインスタレーション等、実に多彩な内容の展覧会。大半は写真プリントをテープで壁に留めただけのシンプルなものだが、時に絵画のように額装した重みのある作品もあり、展示方法も飽きさせない。
代表作„Freischwimmer” 「フライシュヴィマー、遊泳者」シリーズの部屋は圧巻で、この空間の中で気持が開放されない人はいないのではないかと思った。2歳の娘も「あお、みどり」と連呼し、自由な色彩の世界に包まれていた。

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今回私が一番気に入った作品は„New Family, 2001” 。30x40cmサイズの小品だが、前を通りかかって思わず足が止まった。車の窓からワイパーが動く様子を撮っただけの写真、なのに一体この詩情は何なのだろう。まるでGerhard Richter ゲルハルト・リヒターの無限に広がる絵画のようだ。現実のほんの一瞬を切り取り残す写真の技術と、何でもない日常の一場面に意味を持たせる作家の感性に深く感動した。他にも夜の滑走路を撮ったのかと思ったら、ただ電源を入れたコピー機を撮っただけの作品があったり、彼独特のマジックに魅せられた。セクシュアルなテーマなものも少なくなく、実に様々なタイプの作品があり、すべてが好みという訳ではなかったけれど、はっときらめく作品に何点か触れて、ティルマンズのアーティストとして生活の中で常にアンテナを張り次々作品を生み出す姿勢に感動し、満足して美術館を後にした。

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今回は行かなかったが、この美術館のカフェバー„Pardo Bar”もぜひお勧めできる。2009年にこの美術館でも展覧会をした、キューバ出身アーティストJorge Pardo ホルへ・パルドがプロデュースした店内はただただクール!で、入ると鮮やかな色彩の壁や照明に目を奪われ、異空間に連れて行ってくれる。

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by mikimics | 2013-09-23 18:20 | museum