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„Yin Xiuzhen” Kunsthalle Düsseldorf, Düsseldorf

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デュッセルドルフの旧市街の中にあるKunsthalle Düsseldorf デュッセルドルフ美術館へ。ここは良い企画展をするが、エレベーターなし3階建てという建築から、恥ずかしながら常にベビーカーと共に外出しているここ2年ほどは、つい足が遠のいていた。でも今回の展示はぜひ観てみたかったので、ベビーカーでお昼寝中の娘を受付へ預けてなんとか鑑賞、想像以上に良い展覧会でとても嬉しくなった。

Yin Xiuzhen 尹秀珍(イン・シウジェン)1963年生まれの中国人女性アーティスト。数点写真作品もあるが、布で創られているインスタレーションが多い展示だった。遠目にカラフルで造形的に美しい作品を近づいて見ると、古着が何枚も何枚も縫い合わされていて驚く。
飛行機、車、車輪、高速道路、スーツケースなどをテーマにしたものが多く、常に移動している現代人の流動性、故郷の概念の希薄性などを表現していると説明されていた。考えてみると私そして娘の人生も、飛行機やスーツケースなしでは成り立たなくなってしまったなと改めて思う。

会場で特に人目を引いていたものに、„Portable Cities”と題された、スーツケースの中に都市の街並みが表現された作品があった。ニューヨーク、デュッセルドルフ、その他中国の都市など全部で6都市あり、すべての作品はそれぞれの都市で着られていた古着から創られている。そしてスーツケースには搭乗手続の時に付けられる„PEK (to Peking)"というラベルが貼られている。訪れた土地の思い出をつめて旅先から帰って来た時の気持ちや、地球は広く都市は巨大化しているのに、移動手段の発達やネット社会の影響で、世界はどんどん小さく感じられることなど、様々な思いが頭をよぎった。

無機質なものをテーマにした超現代美術作品なのに、どこか親しみやすくて温かみがあるのは、実際に人が着ていた服を一糸一糸縫ってあり、人の手仕事が感じられるからだろう。とても女性的、そしてアジア的なきめ細やかさを感じ、同じアジア人女性として、これからもずっと注目し応援していきたい作家だと思った。飛行機やカラフルな車など子供も一目して楽しめる作品が多いので、3月10日までの会期中に、もう一度起きている娘と一緒に観に来たい。

Portable Citiesシリーズの中から一点。デュッセルドルファーならすぐに分かる風景。街並みもライン川の表現もかわいらしくユーモラスで、ラインタワーには服のボタンが上手く使われている。
„Yin Xiuzhen” Kunsthalle Düsseldorf, Düsseldorf_e0316430_20283826.jpg

by mikimics | 2013-02-17 20:32 | museum