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カテゴリ:picture book( 5 )

Frankfurt Book Fair 2014  フランクフルト・ブックフェア

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毎年10月半ばに開催される世界的に有名なFrankfurter Buchmesse フランクフルト・ブックフェア。ドイツに住むようになってから、いつか一度行ってみたいと思っていたこの書籍の見本市に、この秋初めて行くことができた。今年で66回目、5日間の会期中に約28万人もの入場者が訪れたそうで、一般公開最終日の日曜日はかなりの人の入りだった。他の予定の帰り途中に寄り、3時間しかいることができなかったのだが、色々と面白い発見があった。

展示ホールは12会場もあり、約100カ国から7,000もの出展者が参加し、様々なジャンルの本、出版社が紹介されていて、レポを書けるほど見られた訳ではないのだけれど、娘の機嫌が良いうちにまず最初に、と回った児童書関係のブースを一番じっくり見ることができたので少しここに書きたい。

以下、私の独断と偏見で選んだ今後注目して行きたいドイツ系児童書出版社の紹介。

Usborne Verlag
塗り絵や工作が出来るアートブック、かわいくカラフルなデザインのクリエイティブな本が多いのだが、ここのシールブックがすごい!人形の家、妖精、バレエ、結婚式などがテーマの女の子の着せ替え遊び的なものから、サッカー、クリスマス、世界旅行など男の子が楽しめるものもある。私が思わず感動して買ってしまった「Im Schloss - 宮殿の中」がテーマのシールブックは、美しく描かれたいくつもの部屋に、アンティークの家具、調度品、食器などのインテリア用品200枚以上のシールを貼るという、すみずみまでこだわりを感じるものだった。子供向けながらかなり質が高くマニアックな出版社と感じた。

leiv - Leipziger Kinderbuchverlag
日本でもおなじみのチェコのアニメ「モグラのクルテク君」やフィンランドの「ムーミン」などの絵本を始め、東欧諸国や旧東ドイツ時代の本を多く扱うライプツィヒの出版社。カタログには東欧特有のレトロなデザイン、クラッシックな雰囲気漂う美しい本が並び、とても魅力的。こういう本を身近に見られるのはヨーロッパならではと実感。

Kindermann Verlag
ベルリンの出版社。シェークスピアやゲーテ、シラーなどの古典世界文学に現代の絵本作家の絵を付けて出版したものが多く、私が自分のために読んでみたい本が満載。他にも子供向けに有名な芸術家を紹介した本のシリーズもある。

Jungbrunnen
90年もの歴史を持つオーストリア・ウィーンの出版社。Heinz Janisch 作、Helga Bansch 絵という組み合わせの本を多く出していて、Helga Bansch ヘルガ・バンシュというイラストレーターの絵が私は好きで以前に買ったことがあったので、すぐに分かった。「Bücher für die Kinder mit Köpfchen - 小さく賢い頭を持つ子供達のための本」というモットーのもと、良質の本を数多く出版している。


また今回他に「Mehrsprachige Kinderbücher - 多言語児童書」のブースがいくつかあったのが、私達の目を引いた。ドイツ内の外国人はトルコ移民が最も多いので、ドイツ語とトルコ語の組み合わせの本が結構存在していることを知った。そしてもちろんドイツ語と英語、また他のヨーロッパ言語、アラビア語等との組み合わせもかなりあるらしいが、我が家に向いたドイツ語と日本語というレアなコンビのものもないか探してみたら、なんと一つの出版社が扱っていた。
Quartier Malleribes Verlagというデュッセルドルフ(さすが!)にある会社で、ただ現在はまだ計画段階で、近い将来E-Bookという形で中国語や日本語もダウンロードで購入可能予定と書いてあった。今後も需要が増えると思うので、選択肢が増えると嬉しい。

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「Elmar - ぞうのエルマー」の多言語絵本シリーズ


児童書ブースに関してしか言えないが、日本の出版社は1社しか出展していなかった。グラフィック社がマンガ部門で参加していて、その影響かコスプレした若者達もその近くにたくさんいた。日本の1社に対して、韓国や中国からは数社が出展していて、フランクフルトには韓国人が多い(日本人はデュッセルドルフ、中国人はハンブルグに多く住んでいる)のも影響しているかも知れないが、特に韓国の会社群の勢いを感じた。

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Samsung GALAXYの休憩、体験スペース


メッセ会場ではいつも、大勢の人の中をかき分けながら歩いて色々回るので、人酔いして結構疲れるものだけれど、新情報も得られるしわざわざ行く甲斐はあると毎回思う。せっかくメッセ発祥の国ドイツに住んでいるので、可能な限り色々と観覧できたらと改めて思った。


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by mikimics | 2014-10-20 01:49 | picture book | Comments(0)

„Bobo Siebenschläfer” Markus Osterwalder

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久しぶりに絵本の話題を。Bobo Siebenschläfer Markus Osterwalder この本は私がドイツで娘を通して出会った、ぜひ紹介したい絵本のひとつ。
「ボボ・ズィーベンシュレーファー」ボボというかわいい動物が主役の話で、彼と家族の日常生活が水彩画で軽快に描かれている。ドイツの子供はみんな知ってると言っても良いほど、どの本屋でもすぐに手に入る本。我が家も娘が2歳になった頃から読み聞かせているが、1年以上経つ今もずっと彼女のボボ熱は冷めずベットの脇に常備されている。

この本はページの上下に2つの画面が描かれていて、本を見開くと4つの画面が現れる。毎回4コマ漫画のようにお話が続き、全部で16~18ページほどの一話完結スタイルで、
ボボはいつも最後には寝てしまう話のため、お休み絵本として最適。ボボはとても子供らしく何にでも興味を持つがすぐに飽きる、気が変わりやすい甘えん坊。内容はファンタジーは全くない話で、食事、遊び、入浴、トイレ、公園、買い物、病院、休暇、誕生日、クリスマスなどの出来事、日常生活のひとコマをとても自然に描写している。この本が好きな子供はボボの姿を通して、改めて自分の生活の様子を再確認しているのではないかと思う。お片付け、検温、薬を飲むこと、洗髪後の顔に水が掛かるシャワー、などなど大抵の子供が嫌いなことなども丁寧に描いてあるので、自分と同じ気持ちでいるボボに娘はかなり共感しているのだと思う。

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この絵本の作者は絶対に自分の子供がいる人だろうと、読んでいてすぐに思った。ボボや両親のすることがとても具体的で、あぁこの感じ分かる分かる、というエピソードが多いからだ。調べてみたら著者のMarkus Osterwalder マルクス・オスターヴァルダー(スイス・チューリヒ出身 1947-) は2歳の娘のためにお話を考えたのが、この本を作るきっかけだったそう。きっと沢山の子供との思い出が詰まっているのだろう。

そしてボボは一体何の動物なのだろう?とずっと思っていた。リス?クマ?想像の動物?するとただの名字だと思っていた„Siebenschläfer”は「大ヤマネ」と言う意味があるということを義妹に教えてもらった。
„Siebenschläfer”の„Sieben”は「7」で、„schläfer”は「眠る人」という意味。この名前の由来は、ヤマネは10月から5月にかけて1年のうちで7ヶ月間冬眠をするからだそうで、なかなか面白いドイツ語表現。「ヤマネ」という普段あまり見かけない動物がモデルだったということを知り、益々私もボボが好きになった。

この本のドイツ語は難しくなくほとんど現在形で書かれた短文なのだが、普段の生活で幼児が必要とする言葉が満載されているので、外国人の私にとっても改めてドイツ語の勉強になる。最初に本が発行されたのが1984年、ちょうど30年前なので、絵の描写(お店の商品、街や電車の様子、家具や家電のデザインなど)が少し今と違う所があるが、話の内容が普遍的なテーマのため古臭い感じは全然せず、何度読んでも飽きない。私には上品でクラシカルな雰囲気が漂うヨーロッパ産の絵本という印象を受ける。
„Bobo Siebenschläfer” „Bobo Siebenschläfer macht munter weiter” „Bobo Siebenschläfer ist wieder da” „Bobo Siebenschläfer wird nicht müde”と4冊のシリーズがある。

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by mikimics | 2014-07-23 21:01 | picture book | Comments(0)

„ころころころ” 元永定正 作 絵

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妊娠してから今までに、随分たくさんの絵本を周囲の方達からプレゼントしていただいた。新しい絵本はもちろんだが、自宅での絵画教室に来てくれていた生徒のお母様達から、子供が大切にしていたという絵本や、日本の義姉がどっさり船便で送ってくれた姪達が読んでいた本など、実際に他の子供達が何度も読み返した古本も数多くいただいた。少し破った跡やいたずら描きされた箇所もあったり、それはそれでとても嬉しかった。絵本ってこうやって巡り回っていくものなのかなと思い、うちの子もそのうち必要なくなったら、大好きだった絵本を今後出会う年下の子供達に差し上げていきたいと思っている。そうやっていただいた絵本のうちの一冊を今日は紹介したい。

ころころころ” 元永定正 作 絵

確か娘が生後5ヶ月頃の時に初めて見せてあげた本だが、最初から彼女はこの本が好きでよく見入っていた。初めての育児は試行錯誤の日々で思いがけない様々な発見があった。そのひとつは、赤ちゃんは円でも球でも、とにかく「まるい形」が大好きということである。おっぱいの形に似ているというのもあるのだろうが、きっとこれは本能的なことなのだろうと思った。だから、たくさんの小さなきれいな色のまるが「ころころころ」と転がって行く様子を見るだけで、きっとぐっと彼らの心のツボにハマってしまうのだろう。ページをめくるたびに毎回鮮やかな美しい色彩と、パッと印象に残るシンプルな形が目に焼きつく。

特にストーリーはなく、小さなたくさんのまるが色々な道 - かいだんみち、さかみち、でこぼこみち、あらしのみちなどをころころころと転がって行く様子を描いた本。それだけに読み聞かせの方法によって印象が全く変わるらしく、娘は私が読む時はおとなしくにこにこしながら見ているが、夫が読むときゃっきゃ言って反応している。きっと私の「ころころ」は静かに転がって行く感じで、夫のはダイナミックで動きのある印象なのだろう。
10ヶ月頃、自分で好きな本を持ってきてごらんと言うと、一応ちゃんとお気に入りがあるようで、本棚のたくさんの本の中からいつも同じような数冊を持ってくるようになり、この本は必ずその中に入っていた。そして1歳半頃少しずつ話すようになってからは、ひとりで「こっこっこっ」と口ずさみながらページをめくるようになった。語感と絵柄がちゃんと結び付いていることに感心した。

著者の元永定正氏(1922-2011)は、前衛的な仕事をされていた現代美術家。この絵本で氏のことを知り、絵画作品を少し拝見して絵本の作風が納得できた。シンプルな構成だけれど、背景の処理など様々な画材が使われていて凝っている。他にも人気ある絵本シリーズがあり、抽象的な作品なので大人には賛否が分かれるが、子供には絶大な人気を誇っているようである。ぜひ他の本も見てみたいと思う。

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by mikimics | 2013-03-22 21:45 | picture book | Comments(0)

„Vom kleinen Maulwurf, der wissen wollte, wer ihm auf den Kopf gemacht hat.”

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前回日本の絵本について書いたので、今回はドイツの絵本を一つ紹介したい。

Vom kleinen Maulwurf, der wissen wollte, wer ihm auf den Kopf gemacht hat.” Werner Holzwarth / Wolf Erlbruch

とても長いタイトルの本だが「うんちしたのはだれよ!」という邦題で、日本語版も出版されている。30以上の言語に翻訳され、世界中の子供に読まれている大人気な本。挿絵を描いたWolf Erlbruch ヴォルフ・エールブルッフは、2003年ドイツ児童文学特別賞、2006年国際アンデルセン賞受賞など、ドイツで有名かつ重要な絵本作家で、本屋の絵本コーナーでは彼の本を何冊も見かける。独特の色鉛筆のタッチとコラージュの手法、斬新な構図・色使いで、たくさんの絵本の中からも、この作家の絵はとても目を引く。

頭の上に誰かのうんちが落ちて来て怒ったモグラが主人公で、「君がやったの?」と次々出会う動物達に質問していくというストーリー。絵本の動物というと、どうしても平面的でかわいらしく描かれたものが多いが、この本の中の動物達はユーモラスには描かれているけれど、リアルな表現で媚びたかわいらしさがない所に私は好感を持っている。ウサギの身体からはしっかりした脚力を感じるし、牛の乳には血管さえ透き通っているのが見える。

そしてモグラという地面を這いつくばっている小さな生き物の視点がよく表現されている。馬や牛などの動物は全身が描かれておらず、顔と足だけ見せることでその大きさを表している。小さいものが大きいものを見上げるという観点に関しては、子供の視線に近いのではないかと思う。うちの娘はこの本を読んでいる時は、動物の足だけをアップで見る機会など普段あまりないからか、よく「あしー。あしー。」と言っている。

子供と生活していると、排泄物は毎日とても重要になる。健康のバロメーターだし、身体の機能を学んでいくのに欠かせないテーマである。この本は動物は種類によってそれぞれ違った形のうんちをするということを、とても自然に面白く教えてくれる。そして話の最後の展開がおかしくてかわいくて笑える。ドイツでは様々なサイズの絵本、アニメーション、人形劇などにも展開されている。

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by mikimics | 2013-02-16 16:39 | picture book | Comments(0)

„めしあがれ” 視覚デザイン研究所 作 高原美和 絵

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2011年春に長女を出産して子供と生活するようになってから、未知の世界と出会い新しいドイツ社会とも知り合った。育児を通して感じたことも少しずつここに残しておきたいと思う。特に娘のおかげで知り合ったすばらしい絵本も紹介して行きたい。

めしあがれ” 視覚デザイン研究所 作 高原美和 絵

「ホットケーキめしあがれ」「シュークリームめしあがれ」とすべてのページには短い言葉しかなく、あとは画面全体に愛情深く丁寧に描かれたお菓子が広がっている。ページをめくるたびに美味しそうなお菓子が出てきて幸せな気持ちになれる絵本。挿絵を描いた水彩画家高原美和さんは私の大学時代の同級生。昨年日本に里帰りした時に、ちょうど出版されて間もないこの絵本を娘にプレゼントしていただいた。

私はこの絵本の中の絵は「イラスト」ではなく「絵画」だと思って眺めている。美和さんは限りなく実感を出すために、モチーフは用意されたものに加えて、できるだけ自分でも探し、作れるものは作り、できたての一番美味しい状態の時にスケッチしたと話してくれた。イチゴの光沢も、ケーキのスポンジのふわふわ感も、クッキーの香ばしさも、技術だけでなく本当に心をこめて描かないと、こうは美味しそうにならない。そして食器や背景もとても気配りされていて、例えばほとんどのページにスプーンやフォークが出てくるが、これが毎回デザインも材質も違う。このフォークはうちのと似てるね、こんな柄のカップもあったらいいね、なんて食べ物以外のものについても娘とよく話す。

またこれは現在の日本のお菓子文化を紹介した本だとも思う。そういう意味でもドイツで生まれた独日ダブルの娘にはずっと読ませ続けたい。ドイツではクリスマスケーキというものは存在しないし、もちろん似たような揚げたお菓子はたくさんあるけれど、穴の開いたドーナツを食べることもほとんどない。お団子とおせんべいを描いた和菓子の絵が一枚あり、良く知っているのに随分ご無沙汰していた風景を見たようで、私にはグッと来た。ミスタードーナツを懐かしく思い出し、お団子を口に入れた時の柔らかい感触、固めのしょうゆせんべいをかじった時の歯ざわりや音を想像した。さすが視覚デザイン研究所から出版された本だけあって、視覚から触覚・味覚・嗅覚・聴覚すべて刺激される。文章が少なくて絵で見せる本なので乳幼児から楽しめるし、内容・大きさ・価格、すべてにおいてぜひお勧めできる1冊だと思う。

1冊の絵本を通して子供の成長を知ることができるのも面白い発見だった。いただいた3ヶ月前に見たときと比べると、娘の語彙は随分増え着眼点もかなり変わった。これからまだまだ変化するのが楽しみである。
またデュッセルドルフ在住の方は、Nordcarree 10 の畳が敷いてあるユニークなキンダーカフェ Pantakeaの本棚の中から、この本を見つけることができます。

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by mikimics | 2013-02-10 11:28 | picture book | Comments(0)