mikiterao@jp.de

mikiterao.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:museum( 25 )

Die Lange Nacht der Münchner Museen 2017, München

e0316430_11431871.jpg

10月半ばの土曜日、あるアートイベントを観に久しぶりのミュンヘンへ。年に一度開催される今年で19回目の„Die Lange Nacht der Münchner Museen 2017 (ミュンヘンの美術館の長い夜)”。
市内にある美術館やギャラリー、博物館、教会など約90の団体が19時から夜中2時までオープンし、15Euroの共通チケットで全て自由に鑑賞できるというもの。10分おきに来る5種類の無料シャトルバスも運行し、お天気に恵まれたこともあり、今年は2万人以上もの入場者数があったそう。

この夜のイベントはドイツの各都市でもあり、デュッセルドルフも同じく17回続く„Düsseldorfer nacht der museenが毎年春に開催されるが、美術館もそれに向けて普段とは違ったプログラムを開催したり、州会議場など普通は一般公開されていない建物にも入れるので、いつもはあまり美術館に出掛けない人への興味をうながす良い機会としても機能していて、毎回市民が大勢街中を歩き回る熱い夜となっている。



このイベントに、日本から展覧会開催のためいらしていた友人のアーティスト井上尚子さんも参加されていたので、彼女の個展を観にまずはMuseum Villa Stuck ヴィラ・シュトゥック美術館へ。ここは象徴主義の芸術家Franz von Stuck フランツ・フォン・シュトゥックの邸宅だった建物を現在は美術館としているもので、すばらしいアールヌーボー調の建築の中に彼の作品が展示され、同時に現代作家の企画展も開催されている。

尚子さんは「香り」をテーマに活躍される作家で、今回は„Hisako Inoue. Die Bibliothek der Gerüche (井上尚子展、香りの図書館)”と題された来年1月まで続く展覧会を開催中。彼女が各地で集めた異なるにおいの古書や、分析を元に作られた香りを鑑賞者も嗅ぎ、においから呼び覚まされる記憶や感情を体験するというもの。

ドイツ人ガイドによるガイドツアーでは、日本に古来からある香りの芸術「香道」を、ヨーロッパのワインテイスティング文化に例えて紹介されていて、ガラス製ケーキカバーに一点ずつ飾られた古書の展示も美しく、アンティークで上品な内装ととても合っていて、目を閉じてゆっくりと本の香りを愉しみ想いを馳せる行為は大変ユニークな時間だった。

e0316430_11433674.jpg
e0316430_11435219.jpg

会場では鑑賞者が一人一人本を手にとって香りを体験するので、隣の人に「どうぞ」と本を渡したり、「このにおい私は好き」「私も!」などと自然と声を掛け合う瞬間が生まれる。「嗅覚」という普遍的な人間の感覚で、国籍も年齢も宗教も飛び越えて気軽に会話ができる。「香り」という抽象的なテーマを、このように誰でも参加できる印象的な展覧会の形にした井上尚子さんの力量に感動した。

e0316430_11440483.jpg
„Shelves in an old house” „Incense burning in the temple”
といったそれぞれの香りにつけられたタイトルにも井上尚子氏のセンスを感じる。

e0316430_11441545.jpg
本の香りを科学的に分析し元素分けにしたグラフも面白かった。

e0316430_11442976.jpg
すみずみまで趣向を凝らした内装の建築。

e0316430_11444181.jpg
e0316430_11445648.jpg




Museum Villa Stuckを後にし、
その後さらにシャトルバスで移動して別の会場へ。バス内は毎回ほぼ満員、皆美術館を回るという同じ目的の人達だから、たまたま隣に座った人とも、何の展示を観てどこが良かったかなどと話すこともあり退屈しなかった。

e0316430_11450989.jpg
e0316430_11452123.jpg

St.Lukas 聖ルーカス教会 Installation by Wang Te-Yu & Lin Wei-Lung (Taiwan)




最後に回ったHaus der Kunst ハウス・デア・クンスト(芸術の家)美術館はとても良かった。ナチス時代の建物なので、権威を象徴するかのように天井がとても高く、どっしりと重厚で特別感のある建築。世界的に有名なドイツの写真芸術家Thomas Struth トーマス・シュトルートの個展も見応えがあったが、 個人的にはイギリスの画家Frank Bowling フランク・ボウリングの回顧展がすばらしいと思った。

e0316430_11454368.jpg

e0316430_11531942.jpg
数年前に改装されたアンティークな内装のバーGoldene Barもかなりクール。




翌日、デュッセルドルフに帰宅する前に Lenbachhaus レンバッハハウス美術館へ。ここも肖像画家Franz von Lenbach フランツ・フォン・レンバッハ侯爵の個人邸宅が美術館になったもので、全体の雰囲気や庭園がすばらしく、ドイツに住む前旅行で初めてここに来た時の感動は忘れられない。2013年春に4年間の改装工事の後に再オープンしてから、ようやく今回初めて訪問できた。もともとこの美術館の目玉の、表現主義のグループ「青騎士」コレクションのカンディンスキー、マッケ、マルク、ミュンターなどの作品部屋に加え、戦後~21世紀の現代美術のコレクションのセクションがかなり増築されていて、とても見応えがあった。

e0316430_11533231.jpg

e0316430_11534407.jpg

広い吹き抜けのロビーでは、デンマーク人アーティスト、オラファー・エリアソンの天井から続く美しいガラスの立体作品が出迎えてくれる。 Olafur Eliasson „Wirbelwerk” 2012

e0316430_11543872.jpg
„Der Blaue Reiter” 「青騎士」コレクション

e0316430_11545433.jpg
Sarah Morris セーラ・モリス (アメリカ)の部屋

e0316430_11552324.jpg
Katharina Grosse カタリーナ・グローセ (ドイツ)の部屋

e0316430_21052000.jpg
e0316430_21055837.jpg
e0316430_11554981.jpg
やはり別格の扱い、Joseph Beuys ヨーゼフ・ボイス コレクション

e0316430_11560069.jpg
Franz von Lenbach レンバッハ コレクション

e0316430_11540868.jpg
庭園も秋の雰囲気で、またすてきだった。



Museum Villa StuckにしてもLenbachhausにしても、こういう元は芸術家個人邸宅で歴史的建造物でもある美術館というのが、デュッセルドルフにはあまりないので、深い歴史と文化の香りを感じるミュンヘンは、たまに訪れると同じドイツの都市でも新鮮で良い刺激を受けることが出来る。秋晴れの気持ちの良い週末で、また一つミュンヘンでの良い思い出ができた。

e0316430_11562493.jpg


[PR]
by mikimics | 2017-10-30 22:11 | museum | Comments(0)

„篠田桃紅 昔日の彼方に” 菊池寛実記念 智美術館, Tokyo

e0316430_07433932.jpg

随分前のことになってしまったが、先日日本滞在した際に、今回初めて訪れた東京の智美術館 Musee Tomoでの展示について。

現代陶芸のコレクター菊池智氏のコレクションを公開している、2003年東京・虎ノ門に開館した美術館。
初夏のようにさわやかな5月末の日、普段滅多に降りない溜池山王駅から徒歩で向う道は思いのほか緑が多く、お散歩気分で退屈せずに美術館に到着した。

e0316430_07435158.jpg


篠田桃紅 昔日の彼方に
和紙に墨という日本的画材を用いながら世界的に活躍される篠田桃紅氏 Toko Shinoda (1913-)の作品は各所で見かけていたけれど、個展という形でじっくり観たことはなかったし、今年104歳を迎えられた氏の2016、2017年の最新作も展示されるということで、興味を持って出掛けた。

e0316430_07440685.jpg

初期の頃の書の作品から、抽象化していった代表的な仕事、最新作まで計46点。
ほとんどは和紙に墨で描かれた作品、リトグラフに手彩色も少々。線と面のシンプルな構成に、「夢」「夜明け」「みなぎる朱」「雪月花」「響」など、いつも短いひと言のタイトルがつけられていて、無駄をそぎ落とした表現から凛とした強さが伝わってくる。
伸びやかな筆や刷毛の仕事は、時に優しく、激しく、潔くて、語りかけるような繊細な書から、大胆でダイナミックな大作まで。使われている色は墨、朱、胡粉、金、銀のみといった限られたものなのに、とても表現の幅が広くて、毎回その作品の世界に引き込まれた。

そして普段は陶芸の立体作品を展示している美術館なので、普通の平面展示とは違ったプレゼンテーション方法がとても印象的だった。白い壁は一切なく、深緑、濃紺、深紅といった濃色の背景に、篠田氏の白と黒の作品は却ってとても際立って見えた。壁掛けだけでなく、展示台の上に斜めに置かれた作品も多くあり、スポットライトの当て方も効果的で、透ける布オーガンジーを使っての間仕切りの方法など、舞台芸術を見ているような気持ちになった。



展覧会を観て一月以上経った今も、地階の入り口から受付を通り、地下の展示室に向かう螺旋階段を降りた時のことを思い出す。ガラス製の手すり(これも作家作品(横山尚人氏)のもの)が下に向かって展示会場に誘うように美しく曲線を描き、これからどんな世界が待っているのかと期待させられた。
個人的には美術館は自然光が感じられる建物の方が好きなのだけれど、ここの地下の会場は内装もとても凝っており隅々までこだわりが感じられて、とても記憶に残るものだった。素敵な美術館を新しく知ることが出来たのは、今回の日本滞在の収穫の一つとなった。

e0316430_07441709.jpg
美術館エントランス扉 内側から


実家にたまたま篠田氏の著書「一〇三歳になってわかったこと」(すごいタイトル!)があったので、ドイツに持って来て、今読んでいる。103歳の方の人生哲学を聞くことも滅多にないことで、人生を俯瞰した視点、達観された意見を淡々と述べられている文章は分かりやすく、きっと今後も何度も読み返すことになると思う。
中でもこのくだりには救われる気持ちになった。


„私の日々も、無駄の中にうずもれているようなものです。毎日、毎日、紙を無駄にして描いています。時間も無駄にしています。しかし、それは無駄だったのではないかもしれません。最初から完成形の絵なんて描けませんから、どの時間が無駄で、どの時間が無駄ではなかったのか、分けることはできません。なにも意識せず無為にしていた時間が、生きているのかも知れません。
つまらないものを買ってしまった。ああ無駄遣いをしてしまった。
そういうときは、私は後悔しないようにしています。無駄はよくなる必然だと思っています。”


e0316430_07442772.jpg

美術館入り口正面にある常設展示 篠田桃紅「ある女主人の肖像」(1988)


[PR]
by mikimics | 2017-07-17 08:10 | museum | Comments(0)

Leopold Museum, Wien

e0316430_19184031.jpg

昨年暮れ、クリスマス休暇中ウィーンに小旅行した。文化の香り高く歴史深いウィーンはドイツの町とはまた違ったエレガントさがあって、機会があれば数年住んでみたいと前から思っているほど好きな所。オーストリア訛りのドイツ語も耳に新鮮で、カフェの種類や名前、通りの表記などもドイツとは少し異なり、ドイツから来ると小さな相違がとても面白く感じる。


MuseumsQuartier ミュージアムクォーターという、町の中心すぐそばにある文化芸術区画内にあるLeopold Museum レオポルド美術館へ。この美術館の目玉はなんといっても世界最大のEgon Schiele エゴン・シーレのコレクション。2001年に会館して間もない頃に一度行ったが、その頃とは周囲の環境も随分変わり新鮮に映った。

e0316430_19185529.jpg
e0316430_19191081.jpg


美術館最上階4階にGustav Klimt グスタフ・クリムトのコレクション、19~20世紀のオーストリア絵画、ユーゲント・シュティールの工芸品、家具等の展示があり、窓から見えるウィーン中心部の風景も感動的。
初めて観たクリムトの作品もいくつかあって、前から好きな正方形サイズの風景画群がとても良かった。また愛人Emilie エミーリエに宛てたポストカードがショーケースに沢山展示してあって、ここでしか見られない特別感があった。

e0316430_19192513.jpg
e0316430_19194237.jpg
e0316430_19200640.jpg
Gustav Klimt „Am Attersee” 1900



3階はシーレ・コレクション、2階はミュージアムショップ、地階は企画展をしていて、全館観るとかなり見応えがある。今回は特にシーレ・コレクション鑑賞に集中したが、この階に一番力を入れている美術館の姿勢がうかがえた。
改めてオリジナル作品を続けて観て、私はシーレの作品群からとても「死の香り」を感じた。28歳で亡くなる短い人生の間に彼は母子像をよく描いているけれど、その作品からは新たな生の喜びというようなものは感じられず、常に「死」と対峙した「生」、生きていかなくてはならない現実感、虚無感のような重たさが漂う。時代背景もあると思うが、その表現はずっしりと強く鋭くこちらに響く。研ぎ澄まされた感性を感じる人物画、有名な数々の自画像からは特に目の表現が迫り来るものがあった。
また風景画を集めた部屋がとても良く今回認識を新たにした。大胆な構図や構成も印象的だが、特に私には建物、樹木などの細部描写がとても魅力的に映り、コレクターのRudolf Leopold氏が手掛けた風景画のみのカタログを購入。

e0316430_19201872.jpg
e0316430_19203879.jpg
Egon Schiele „Haus mit Schindeldach (Altes Haus II)” 1915 




ウィーンの町は世界的に有名な教会やオペラ座、美術館、博物館が町に集中していながら、徒歩や地下鉄などで簡単に回れるこぢんまり感がとても心地良い。
途中たまたま通り掛って輝く金色のキャベツが目に入ったので、Secession セセッション館(分離派会館)も立ち寄り、クリムトのBeethovenfries ベートーベン・フリーズも鑑賞。観るのは3回目だったけれど、何度見ても人物の動き、表情、表現に新たな発見がある。ずっと見上げるあの高さも色々想像させられて良い気がする。いつまでも観ていたくなる壁画。

e0316430_19205595.jpg


最終日はHotel Sacher ホテル・ザッハーのカフェで、ザッハートルテを堪能して娘も大満足。これまでお土産にいただいたことも何度かあったけれど、実際にカフェで食べる方がずっと美味しかった。

e0316430_19211482.jpg


私達の住む町から比べると、やはり気温は低く特に風が冷たくて、夫に言わせると東欧独特の寒さだそう。冷たい風とクリスマスイルミネーションはウィーンの雰囲気によく合っていて、今は観光客向けになっているFiaker(フィアッカー)と呼ばれる辻馬車も、乗ってみたら結構楽しくて、街を眺めるすてきな時間が持てた。

e0316430_19214075.jpg
e0316430_19215214.jpg


今回往路は飛行機、復路はデュッセルドルフまで直通の夜行寝台列車Nightjetにしてみて、娘も寝台列車初体験に大興奮、家族3人個室で朝食も美味しくて、想像以上に快適でちょっと変わった旅気分を味わえた。

e0316430_19220487.jpg


[PR]
by mikimics | 2017-02-01 19:46 | museum | Comments(0)

„The Collector's Eye” Musée d'Art Moderne et Contemporain, Strasbourg

e0316430_07565510.jpg


フランス北東部、ライン川の左岸にある美しい町Strasbourg ストラスブールへ、10月最初の週末はドイツは連休だったので小旅行に出掛けた。この町はドイツとの国境沿いに位置することから、過去に何度もフランスになったりドイツになったりした歴史があり、両国の文化が融合した独特な都市となっていて、ドイツ語も結構通じるし、町並みも食事もドイツの影響が深く感じられて、ドイツから訪れるととても居心地が良い。そしてクリスマスの装飾が美しいことでも有名で、私が8年前に初めて行った時は正にクリスマス・マーケットの時期で、とても感動したのをよく憶えている。

ユネスコ世界遺産にも登録されている旧市街には古い木組みの建物が立ち並び、中心にあるCathédrale Notre-Dame de Strasbourg ストラスブール大聖堂はものすごい存在感で、どこから何度見ても写真を撮りたくなる。(でも大きすぎて大抵上手く撮れないけど。) 12-13世紀に建てられた全長112mもの建築は、世界第6位の高さの教会だそうで、尖塔が1つしかない左右非対称のデザインも印象的。旧市街の中の路地はどこも絵になる所だらけ、アルザス地方特有の陶器や置物もかわいらしいものが多くて、気になるお店ばかりでなかなか早く歩けない。


e0316430_07570774.jpg
Cathédrale Notre-Dame de Strasbourg ストラスブール大聖堂


e0316430_07571920.jpg
子供用品店のディスプレイ。シュバシコウ(コウノトリの一種)は市の鳥で、多数のお土産グッズが並ぶ。




この町に着いてから、毎月最初の日曜日は美術館が入場無料、と いう嬉しい偶然を知ったので、少し気になっていたMusée d'Art Moderne et Contemporain de Strasbourg ストラスブール近代現代美術館へ。カラフルなガラス張りのモダンな建物も美しく、有名なアーティストの初めて観る作品も多く、コレクションも充実していて訪れる価値は大いにある良い美術館だと思った。

2016年9月から来年3月まで続く企画展„The Collector's Eye”は、この美術館とも関わりのあるコレクターのプライベートコレクションを、常設展の中に各所に展示するというもので、いつもは公開されることのないプライベート作品と、常に公開されている常設作品を並べて、お互いに刺激し合い普段と違った空間に見せるというもの。Kandinsky カンディンスキー、Kupka クプカ、Arp アルプ、Ernst エルンスト、Baselitz バゼリッツ、Boltanski ボルタンスキー、Penck ペンクなどなどフランス・ドイツから活躍した近、現代作家の作品が続々並ぶ。企画展作品中にOn Kawara 河原温 „Thanatophanies 死仮面” (1955-1993) の版画シリーズを観られたことは、私にとっては幸運だった。


e0316430_07573075.jpg
Vassily Kandinsky „Salon de Musique” 1931
他に常設展にはカンディンスキーの代表的作品も数点展示されている。


e0316430_07574570.jpg

この町の出身彫刻家Jean (Hans) Arp ジャン(ハンス)・アルプ(1886-1966)の部屋はずっと眺めていたい空間だった。


e0316430_07575811.jpg
e0316430_07580834.jpg

Mimmo Paladino „Hortus Conclusus (Le Jardin Clos)” 1992
2階のレストラン上に設置された、イタリアの彫刻家ミンモ・パラディーノ屋外彫刻。シルエットが美しく、馬好きな娘も喜んでいた


e0316430_07582278.jpg

Nam June Paik „Mac Ever's, 1989-1991” 1991
思いがけずナムジュン・パイクとも出会えて感動。彼の作品はテクノロジーが進化すればするほど、価値が高まる気がする。


e0316430_07583334.jpg

最近の美術展は子供向けの冊子も充実している。会場でもらったおしゃれな塗り絵で娘も集中、こちらも助かった。笑


e0316430_07584344.jpg
美術館内部。


e0316430_01311933.jpg
カラフルなガラスの色も、外からの光で美しく床に映っていた。


e0316430_07585381.jpg

美術館のテラスから眺めたストラスブールの町の様子。




秋晴れの気持ち良い一日だった。L'Ill イル川沿いの遊歩道を、娘と手をつないで秋の歌を歌いながら美術館に向かったことは、ストラスブールでの出来事として、きっと後で懐かしく思い出されるような予感がした。

e0316430_07590382.jpg



[PR]
by mikimics | 2016-10-16 18:30 | museum | Comments(0)

Musée du Louvre-Lens, Lens

e0316430_22073719.jpg

パリのルーブル美術館の別館、Musée du Louvre-Lens ルーブル・ランスへ。先月の週末フランス小旅行の目的は、5歳の娘の念願のディズニーランド行きだったが、その帰り道にどこか他の町にも寄ってみようということで、前から行ってみたかったこの美術館のあるLens ランスを訪れた。
ランスはフランス北部、ベルギー国境近くの
Nord-Pas-de-Calais ノール=パ・ド・カレー地域圏にある都市。パリのルーヴル美術館本館の混雑緩和とフランス北部の産業経済振興を目的として、過疎化していたこの地に2012年別館がオープンされた。


e0316430_22075414.jpg
Lens ランス - 元は炭鉱で栄えた町なので、石炭の採掘によってできたボタ山が各地で見える



未開のまま放置されていたかつての鉱山地帯20ヘクタールの土地に建てられたこの美術館の設計は
、日本人の妹島和世氏と西沢立衛氏の建築ユニットSANAA。今回、この建築を体感することが一番の目的だった。8月の日差しの強い快晴の日、少し離れた場所にある専用駐車場から美術館に向かって10分少し歩いた。からっとした青空の下に現れた整然とした横長の建築は、壮大でありながら透明感のある美しいもので、ただただ感動だった

e0316430_22080412.jpg
美術館に向かう、さわやかな緑の小道

e0316430_22081613.jpg
あ、見えてきた

e0316430_22082755.jpg
空や風景が映り込む建築

e0316430_22090854.jpg
どこを見ても光の反射が美しい建物



ルーブル・ランスには2つの展示スペースがある。「Galerie du temps(時のギャラリー)」と「Galerie d'exposition temporaire(特別展ギャラリー)」。この「時のギャラリー」は、パリの本館コレクションから選抜した傑作を毎年少しずつ替えて展示している常設展で、紀元前3500年のものから19世紀の作品までを、ひとつの部屋に並べるという大変ユニークなもの。古代、中世、ルネッサンス、バロック、古典主義、などを年代別に、壁に書かれた時間軸に沿って展示されている。古代エジプトの棺、ギリシャ彫刻、オリエントの装飾タイル、中世宗教画、レンブラントのダイナミックな絵画も、皆同じ空間で仕切られることなく、とても間近に鑑賞できて、贅沢な気持ちになる。しかもこの常設展は入場無料。(さりげなく寄付ができる仕組み)


e0316430_22083798.jpg
e0316430_22091928.jpg
e0316430_22093014.jpg
e0316430_22094067.jpg



e0316430_22103042.jpg
ガラス張りのエレベーターは金沢21世紀美術館を思い出す



ガラスやアルミニウムを多用した建築は、空、雲、木々など周りの風景を自然に映し込む。角度や時間によっても見え方が変わり、建物が風景と同化して見える一瞬もあり、夢幻で不思議なはかなさに魅せられた。
今回
は青い空、白い雲、緑の木々に囲まれた印象だったが、季節によっても変幻自在に様子が変わるのだろうなと、今度は夏ではない時期に訪れてみたいと思った。

e0316430_22104295.jpg
e0316430_22105666.jpg



併設されたレストランL'Atelier Marc Meurinも、大変雰囲気が良くお食事も美味でおすすめできます。

e0316430_22110822.jpg
e0316430_22111819.jpg

[PR]
by mikimics | 2016-09-30 22:31 | museum | Comments(0)

„森村泰昌:自画像の美術史―「私」と「わたし」が出会うとき” 国立国際美術館, Osaka

e0316430_09245347.jpg

年に一度の里帰りで先月末から日本に来ているが、最初に西日本を1週間ほど旅行することにして、まず新幹線で大阪に入った。そしてタイミング良く開催中の国立国際美術館 The National Museum of Art, Osaka の„森村泰昌:自画像の美術史 ―「私」と「わたし」が出会うとき”を観ることができた。
森村氏を私が初めて意識したのは約20年前、母校女子美術大学の学園祭にゲストとして招かれた講演会を拝見した時だった。当時は失礼ながら「コスプレのアーティスト」のような先入観しかなかったのだが、とてもお話が上手な方で、その時公開されたビデオが大変面白かったのを記憶している。


ー「自画像」をテーマに自分自身を撮る。それは、大きな美術の歴史に、ひとりの美術家のささやかな人生を立ち向かわせること、楽しくもあり恐ろしくもある。その30年間の成果を一挙公開いたします。(森村) ー
いつも思うが、森村氏の言葉はとてもシンプルで分かりやすい。誰にでも理解してもらえるようにという気遣いが感じられる。地元大阪では初めての大規模個展は11の部屋からなる第1部と70分の長編映画の第2部との構成で、新作30点を含む計130点展示という大変見応えのあるものだった。
「『森村泰昌展』は撮影OK!! SNSで展覧会の様子をシェアしませんか?」というポスターが貼ってあったので、ここでいくつかの画像と共に少し紹介させていただきたいと思う。

最初の部屋は「美術史を知らなかったころの『わたし』がいる」というテーマで、美術家になる前の子供時代からの写真が数点飾ってあった。素の表情は笑顔が素敵で、仮装や化粧をしなくても普段から絵になる外見の方なのだなと思った。

e0316430_09271736.jpg

そしておなじみの西洋美術史教科書に出て来るようなポートレートがずらっと並ぶ。ダ・ヴィンチ、デューラー、カラヴァッジョ、ゴッホ、ダリなどなど。そしてレンブラントの赤い部屋、ゴヤの緑の部屋と続く。空間ごとに壁の色を変えた展示方法は成功していて、次の部屋への期待が膨らんだ。

e0316430_09251301.jpg
e0316430_09273796.jpg
e0316430_09274454.jpg

そして特に印象的だったのはフリーダ・カーロの黄色い部屋。極彩色の花輪の中の自画像について、昔の日本ではお店が開店する時やまた葬式でも花輪が飾られる風習があり、何かが生まれる時と死ぬ時の両方に使われたことを思い、生死に終生向かい合ったフリーダ・カーロを花輪で飾りたいと思った、という氏の説明があり、ぐっと胸に響いた。花輪のデザインも様々で、自画像との組み合わせに考慮されただろう時間を想った。それにしても本当に女装姿が美しい人だと思う。

e0316430_09275200.jpg

新作の日本近代美術作家の自画像(松本竣介、青木繁、萬鉄五郎、村山槐多など)の部屋も新しい印象を受け、今回特別な想いを持って制作されたのではという気がした。そして20世紀の日本、世界の美術へと続く。山口小夜子に扮した姿もやっぱり超美しかった。

e0316430_09280023.jpg

ロシアのエルミタージュ美術館が、第二次大戦時に爆撃の被害を恐れ、百数十万点の美術品を山奥に疎開させ、美術館には空の額縁だけが残されたという史実を基に制作された「『私』の消滅」というタイトルの部屋も特異で印象に残った。壁掛けではなくイーゼルでの展示がさらに不思議な特別感を演出していた。

e0316430_09280963.jpg


今回時間がなくて、残念ながら第2部の映像作品を観ることができなかったが、第1部も年代的にストーリーを組み立てられていて、中世から現代までの美術史を改めて勉強させてもらったような満足感があった。この展覧会でどれだけの若い人達に過去の名画や大作家達を紹介したか、その影響力を思った。ひとりで何人もの人に扮し、これだけ全てをさらけ出しても、まだまだ新しい可能性を探り続ける森村氏の姿勢に心打たれる。新しい部屋に入るたびにまたやられたという印象を受けるユニークで精巧な表現、完璧な虚構の世界に誘う独特なエンターテイメント性はさすが。2か月続いた展覧会は今日が最終日。

今回一泊だけの大阪滞在だったが、大阪駅周辺の延々と続く地下街や古い商店街がとても面白く、改めて商業都市だなと思った。また中国人や韓国人の観光客がとても多くて驚いた。東京と比べると雑多だけれど買い物しやすく活気がある風情が、特にアジアからの外国人にウケるのではと大阪在住の友人も言っていた。街を歩くたびにエンドレスに続く様々なお店の風景と森村氏の多彩な作風はどこか重なる気がして、短い時間だったけれど大阪という町が持つカラフルなエネルギーを沢山浴びることができたように思う。

e0316430_09281784.jpg
国立国際美術館のエントランスの様子



[PR]
by mikimics | 2016-06-19 09:57 | museum | Comments(0)

„Munch : Van Gogh” Van Gogh Museum, Amsterdam

e0316430_02354817.jpg

随分前のことになってしまったが、昨年暮れにAmsterdam アムステルダムで観た展覧会について。
アムステルダムにはデュッセルドルフから車で3時間ほどなのに、機会がなくて今回ドイツに住んで初めて行った。私が前回訪れたのは学生の時で、正に20年ぶりの滞在。オランダの町並みはドイツとはまた違った魅力があり、とても楽しい3日間だった。

企画展„Munch : Van Gogh” を観にVan Gogh Museumへ。Edvard Munck エドヴァルド・ムンクの作品を欧州各地から集め、ゴッホの作品と一緒に展示するというもの。ゴッホ美術館は大変混むな…と思ったが、なかなか観られない企画だと感じたので早起きして向かった。20年前には本館の建物しかなかったけれど、企画展は1999年に黒川紀章設計でオープンした別館での展示で、楕円形ガラス張りのエントランスは明るく美しかった。別館の最上階はSompo Japan Nipponkoa Galleryという名前が付いていて、この美術館の運営に日本人もかなり関係しているんだなと思った。


会場に入るとまずムンクとゴッホのそれぞれの自画像と、壁に貼られたムンクの言葉が目に入った。
„During his short life, Van Gogh did not allow his flame to go out. Fire and embers were his brusches. I have thought, and wished, that I would not let my flame go out, and with a burning brush paint until the end.”
ヴァン・ゴッホは彼の短い人生の間で、情熱を絶やすことを許さなかった。情熱の炎と残り火が彼の画法だった。私は自分の熱情を失わせることなく最期の時まで燃えるような筆で絵を描きたいと思い願っている。

e0316430_18245911.jpg

そして全体にわたって同じように、似たテーマの作品や制作年が同時期のものなどを並べて展示しており、予想以上に内容の濃い、作品の質量共にすばらしい展覧会だった。
1853年生まれのオランダ人ゴッホ、1863年生まれのノルウェー人ムンクは、1880年代後半に夢を抱いてパリにやって来る。同じ頃に芸術の都に来て、同じような場所に通い、交友関係も似ていたのに、生前出会うことはなかった二人。
これまで作風も色合いも似た印象はなかったけれど、並べて展示しても全然違和感のない見応えあるコラボレーションになっていて、キュレーターの力を感じた。「叫び」で有名なムンクの絵は、死、孤独、嫉妬など人間の暗部をテーマにしたものが多いけれど、色彩は鮮やかでハッとするような美しい配色もよくあり認識を新たにした。色彩表現もきれいだったけれど、個人的には白と黒のコントラストで上手く構成した木版画もとても気に入った。
またゴッホもアルルの風景など、戸外で描かれた風景画が多いが、ムンクもノルウェーの神秘的で謎めいた雪景色などよく描いていて印象的だった。企画展の後、本館のゴッホ常設展も観たが、37歳でピストル自殺した彼の人生で、現存する膨大な量の作品は1880年~1890年のたった10年間で描かれたものだったと改めて知り驚いた。唯一の理解者弟テオに宛てた、びっしりと細かく美しい字で書かれた手紙には、作品の構想スケッチもよく描かれていて魅力があり、観ていて飽きなかった。


~ゴッホ美術館の予約システムについて(2015年末状況)~
混雑必至の美術館なので、Eチケット予約するつもりだったが、私がチェックした時は前日のためか美術館の公式HPからはもう予約不可だった。ただ世界中の旅行代理店が発行しているバウチャーは前日でも申し込めたが、英語、ドイツ語、日本語、どれも情報があり過ぎて何を信用したらいいのか分からなかったので、私は何も買わずに開館時刻に美術館に行った。すると入場者は3種類の列に分かれて待つシステムになっていて(Blue lane:公式HPにて予約済グループ Yellow lane:代理店バウチャー持参グループ Green lane:全く予約なしグループ)、公式予約組は直接別館入り口へほとんど待たずに通され、それ以外の2グループは同じチケット発券所へ列に並んで待つ仕組み。そしてバウチャー組を7割先に通して、予約なし組みを3割通すというサイクルで進み、私は結局40分程待って入場できた。クリスマス休暇のシーズンでこうなので、夏の繁忙期はどのくらいか想像できない。時間を無駄にしたくない方は、バウチャーでもどんな形でも良いので、オンライン予約をしていくことをお勧めします。


この美術館は、町の中心のMuseumplein(ミュージアム広場)に面していて、2013年に10年ぶりに再オープンされた、17世紀オランダ絵画コレクションで有名なRijksmuseum アムステルダム国立美術館や、近現代美術コレクションのStederijk Museum アムステルダム市立美術館も隣接している。前日に行った国立美術館もかなり混んでいたけれど、好きなフェルメールやフランス・ハルスが観られて満足。この時期、国立美術館裏に簡易スケートリンクも設置されていて、クリスマスの良い雰囲気を楽しめた。

e0316430_04191525.jpg


アムステルダムの街並みはエレガントで、戦争で破壊されなかったため古い建物も多く残っており、ドイツとはまた違った建築様式が美しかった。ブロックごとに運河が現れる風景は昼も夜も絵になって、歩いてもとても楽しかった。インターナショナルな町で人は普通に英語を話し、そして街中は時々フッとマリファナの香りが漂って来たりして、、、やはりドイツとは違うなと思った。
ヨーロッパの多様性は本当にはかり知れなくて、お隣の国でもこんなに異なり、そしてとても気軽に来られるのだから、もっと色々観に回らねばと改めて感じた年末だった。

e0316430_02362418.jpg


[PR]
by mikimics | 2016-02-29 20:09 | museum | Comments(2)

„Japans Liebe zum Impressionismus” Bundeskunsthalle, Bonn

e0316430_08235129.jpg

先週、日本に関係した珍しい展覧会を観に、電車で1時間ほど少し遠出してBonn ボンへ。
町の中心部にMuseumsmeile(博物館通り)と言われる一角があり、良い博物館美術館がいくつも並んでいる。その中の一つ、Kunst- und Ausstellungshalle der Bundesrepublik Deutschland ドイツ連邦共和国美術展示館(略してBundeskunsthalleという美術館を訪れた。

Japans Liebe zum Impressionismus - Von Monet bis Renoir 日本が愛した印象派 - モネからルノワールへ” というタイトルの展覧会。 東北から九州まで日本全国主要美術館から集められた、100点以上もの日本国内の重要な印象派コレクションを、ヨーロッパにおいて初めて展示するというもの。同時に当時影響を受けた日本人作家作品、そして逆にジャポニズムとしてフランスの印象派に影響を与えた日本の浮世絵版画などのヨーロッパコレクションも展示されていて、大変見応えのある展覧会だった。

e0316430_09125271.jpg
(日本語表記の案内やパンフレットなどもよく用意されていた)


印象派やフランス近代絵画へ対する日本人の偏愛は、日本を離れているとより強く感じる。
私は年に一度は帰国するようにしているけれど、いつ帰っても必ずどこかの大きな美術館で印象派展覧会が開催されている。モネ、ルノワール、ゴッホ、ピカソなどの名前は日本人なら小学生でも知っていると思う。逆に北斎、広重、栖鳳、大観などの名前は知られているか分からない。私は日本画専攻として東京の美大に入学した時、日本人なのに日本画を全然知らなかった自分と直面し、どうしてなのか不思議に思った。それは日本の社会風潮や美術教育が原因であると思うけれど、そうなるに至った歴史的社会的背景があったことを、この展覧会で改めて知ることが出来た。

長く鎖国していた日本が開国し、19世紀末からヨーロッパ絵画が日本人の目にも触れることになった。当時は印象派全盛期。従来の日本芸術とは全く様式の異なる美術が、いかに当時の日本人に斬新で魅惑的に映ったか、同時に日本から渡った浮世絵作品もヨーロッパ人達に衝撃を与え、それぞれの芸術はお互いに刺激し合い、その後の美術運動へ多大な影響を残す。
展覧会の中心は、マネ、モネ、ゴーギャン、ピサロ、セザンヌ、シニャック、ロダンなどの作品郡。また所々に同時期の日本人作家作品、そして印象派絵画の日本人コレクター、林忠正、松方幸次郎、大原孫三郎についても特別コーナーが設けられていて、国立西洋美術館大原美術館なども同時に紹介されていた。 

大変ユニークな企画展で終了間近なこともあり、かなりの人の入りで、10代の高校生から高齢者まで、団体の鑑賞者が何組もいた。そして皆ガイドが付いていて熱心に説明している。どんな説明をしているのか興味があり耳を傾けてみると、開国当時の日本の状況、着物の着方や決まりごと(振袖を着るのは未婚女性だけなど)、国立西洋美術館のある上野公園の様子、などなどかなり詳細に至って話をしていて、もちろん既に知っていることだけれど、外国人視点からの客観的な説明は改めてこちらも勉強になった。

この展覧会は1年前にEssen エッセンのFolkwang Museumで観たジャポニズムの展覧会にも通じるものがあったドイツ人達は極東の島国からの里帰り作品群を特別な想いで観ていただろうし、私も日本近代美術史を改めて学ぶと同時に、当時の日本人達の欧州への憧憬や新時代への努力を、西側の視点から想像できた気がする。黒田清輝、児島虎次郎、安井曾太郎などの作品をドイツの美術館で観られるとは思ってもみなかったし、昔美術の教科書で観た記憶を思い出させてもらえてようで、なんだか嬉しかった。この展覧会は今週末21日(日)まで。

ここの美術館のカフェは、毎回その時の企画展に合わせたインテリアに変えるのだが、今回は精一杯和風にしていて、沢山の折り紙が吊り下げてあったり、畳マットが敷いてあったりして、日本人からすると少しズレた所もあったけれど、そこがまたとてもかわいらしく好感を持った。

e0316430_08243745.jpg



帰りの電車まで時間があったので、せっかく来たので少し町を散策。ドイツが東西分離されていた第2次大戦後から1999年まで、旧西ドイツ首都だったボン。実際に訪れてみると、そんな過去があったことが想像しにくいほどこぢんまりと落ち着いた大学町。ボン大学はレベルが高く有名で、美術館内のレストランにも、ボン大学で栽培されたジャガイモや洋梨のメニューなどもあり、町と大学の関係を感じる。旧市街は小さいけれど主要なお店はすべて揃っていて住みやすそうな印象。
ここはBeethoven-Haus ベートーベン生家(現在は彼の生涯を紹介する博物館)があることでも有名なのだが、旧市街の中に他の建物と全く変わりなく普通にあり、気付かずに通り過ぎてしまいそうなほどで、そのさりげなさがとてもヨーロッパらしいと思った。

e0316430_08245062.jpg
町の中心の広場にあるベートーベン像

e0316430_08250563.jpg
ダークピンクの壁がすてきなベートーベン生家

[PR]
by mikimics | 2016-02-20 10:19 | museum | Comments(0)

Museum Boijmans Van Beuningen, Rotterdam

e0316430_17232175.jpg

南イングランド旅行からの帰り、ヨーロッパ最大の港町、オランダのRotterdam ロッテルダムに立ち寄った。ヨーロッパの町にしては珍しく近代的な高層ビルが立ち並び、道行く人の顔ぶれもとてもインターナショナル。モロッコ、トルコ、南米からの移民者なども多いそうで、町の人口の半分以上が外国人で、人は皆普通に英語を話す。(イギリス人の鼻にかかったクイーンズ・イングリッシュより、オランダ人の英語の方が私にはずっと聞き取りやすかった。笑)

ここでぜひ訪れてみたかった美術館、Museum Boijmans Van Beuningen ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館を巡ることができた。
長くてなかなか覚えにくい名前の美術館だが、これはもともとボイマンスとヴァン・ベーニンゲンという二人のコレクターの膨大な蒐集品が基盤となっているもので、現在は126,000点もの所蔵作品があり、中世~近代~現代にかけてすべてワールドクラスのコレクション。絵画が主だけれど、デザインのセクション、彫刻・インスタレーションもありかなり盛り沢山なので、平面作品を中心に急ぎ足で回った。
中に入ると正面入り口にあるワードローブがとても粋でテンションが上がる。最初展示されているインスタレーション作品かと思ったら、コインを入れて自分でコートをかけることができ、自分の上着も作品の一部になるという仕組み。

e0316430_17233249.jpg
Studio Wieki Somers „Merry-Go-Round Coat Rack” 2008
(後ろの壁にあるのはコインロッカー。同じスタイル・素材で作られていて中が見えるようになっている。)


古いものから年代別に観ることにして中世の部屋からスタート。ボッシュ、ヴァン・アイクなど大学の西洋美術史で学んだ作品が目白押し。この時代のものはあまり大作はないので、部屋もそれに合わせて小さく作られていて回りやすかった。そして初めてPeter Bruegel ブリューゲルの„The Tower of Babel バベルの塔”(1565, 小バージョン)を観た。文字通り前に立ったら動けなくなる傑作。450年前に描かれたとは思えないほどの美しい発色で、塔の上に何千人もの人物が様々な動きで描かれているけれど、これが本当に蟻サイズで驚いた。 聖書にある「バベルの塔」は人間の行いが神の怒りにふれた逸話 - 一度見たら忘れられない構図、圧倒的な描写力と重厚な表現で、神からの視点でちっぽけな人間が描かれているように感じた。

e0316430_17234213.jpg


そしてレンブラント、ルーベンス、印象派、表現主義、ゴッホ、ピカソ、モンドリアンなど近代のコレクションが続々続く。私には特にダリとマグリットの部屋が印象深かった。

e0316430_17235393.jpg

Salvador Dalí „A Couple with Their Heads Full of Clouds” 1936

e0316430_17240679.jpg

Maurizio Cattelan „Untitled (Manhole)” 2001
(近代絵画の部屋にこんな彫刻インスタレーションも。この男性は全身像で、下の階から脚立に乗って床を抜いて出て来ている。)


日本人としては草間彌生ルームも見逃す訳には行かない。これは一見目立たない一角にあり、白い地味な扉を明けると外からは全く想像のつかないきらびやかな赤いドットの世界が広がっていて心が躍った。今回は夫&娘と別行動で来たのだが、この部屋はぜひ娘にも見せたかったと思った。

e0316430_17241886.jpg
Yayoi Kusama „Infinity Mirror Room - Phalli's Field” 1965

e0316430_17242966.jpg
美術館中庭の様子


デザインコレクションは割愛し絵画平面作品を中心に観たが、見応えがあり過ぎてかなり満腹、放心状態で美術館を出る。ここはMuseumparkという他の美術館や博物館も集めた緑豊かな公園の中にありとても良い環境なので、次回また来る機会があったら今度は公園で過ごす時間も計画しようと思った。

ロッテルダムは戦争でかなり町が破壊されたため古い建物がほとんどなく、オランダ特有のモダンな幾何学的建築が多くあり、観光としては新鮮だった。全体に無国籍な印象で、町の中心に唯一戦火を免れた中世の建築、Grote St.Laurenskerk 聖ローレンス教会(ここの内装がまたモダンでとても印象的!)もあれば、少し離れた所には立派なモスクもあり、新しい21世紀型のヨーロッパの都市モデルを見せてもらったようで、一泊だけだったけれどとても面白い滞在だった。


以下2つ、実際に観て感動した建築。
1つ目は1980年代のモダン建築、Piet Blomの„Kubuswonung”。斜め45度に建てられたキュービックの中は3階建ての住居になっていて、中も見学できるが想像していたより広くてよく作られていた。
2つ目はちょうど1年前にオープンされた、オランダの建築家集団MVRDVによる„Markthal” 屋内食品市場。中には高級食材店やレストランが立ち並び、ドーム部分は200戸以上ものアパートが入っていてとにかくクールで、そのスケールには圧倒される。

e0316430_17244381.jpg
e0316430_17251564.jpg



[PR]
by mikimics | 2015-10-23 18:20 | museum | Comments(0)

„JAPAN ARCHITECTS 1945-2010” 金沢21世紀美術館, Kanazawa

e0316430_21383218.jpg

ずっと憧れて行きたいと思っていた石川県の金沢に、先月の日本滞在中に家族旅行し、念願の金沢21世紀美術館 21st Century Museum of Contemporary Art, Kanazawaへも訪れた。ルーブル美術館別館のLouvre-Lens ルーブル・ランスも設計した日本人建築家ユニットSANAA建築のこの美術館は、ガラス張りのとても開放感がある造りで、この建物を体感できただけでも遠くまで来た甲斐があったと思った。メインエンランスがなく中央に円形展示スペースがあり、あえて動線を作らずどこからでも展覧会場に入れる仕組みになっていて、どこを見ても写真を撮りたくなるような美しい光景が広がっていた

企画展の「JAPAN ARCHITECTS 1945-2010」は戦後65年間の日本建築史を6つの時代に分けて紹介したもので、私達のように建築に造詣がない者にも分かりやすくセクション分けされていて、色々と勉強になった。特に第4セクションに1970年の大阪万博に関した模型、設計図、写真などが多数あったが、この万博がいかに当時そしてその後の日本また世界の建築に影響を与えたかが伝わってきた。私が生まれる前に開催された大阪万博の光景は今観てもあまり古い感じがしなかった。カタログが安価でデザインも内容もとても良かったので、今後の資料のために購入。


円形の展示会場の中庭に、恒久常設のアルゼンチン人アーティストLeandro Erlich レアンドロ・エルリッヒ „Swimming Pool”がある。普通にプールの底まで水が入っているかのように見えるけれど、実際は10cmほどの深さの水しか入っておらず、地下からもちろん濡れずにプールの中に入ることもできる。上から水越しに歩く人が見えるのが面白く、ほんの少しの発想転換で異空間が体験できるなとつくづく感心。娘もプールの水色の箱の中を楽しんで歩いていた。

e0316430_21391643.jpg
e0316430_21394530.jpg
e0316430_21400377.jpg

ただ最初、外にあるこの作品は「雨天のため非公開」という表示が掛かっていた。え!ここまで来たのにそんな!と思い係の人に質問してみると、「大丈夫ですよ、少しでも晴れ間が見えたら開けますので。」と落ち着いた様子で言われ、面白い応答だなとその時は思ったが、あとでどういうことか理解できた。
というのはとにかく天気が変わりやすい。この日一日の間で、晴れ、曇り、小雨、大雨、風雨、雪、雹、とすべての天気を経験したし、それが数十分単位でころころ変わる気がした。タクシー運転手さんの話では、これは典型的な日本海側の冬の気候で、この時期は「弁当忘れても傘は忘れるな」と現地の人達は言うらしい。


超モダンな作りの現代美術館なのに、係の方の応対はどこかほのぼのと温かく、地方の良さを感じた。美術館内にはベビーカーと車椅子が数台常備してあり誰でも自由に使えた。CURIOという初めて見たメーカーのとても美しいデザインのベビーカーで、娘もしっくりと座り心地が良さそうで、私達も押しやすい。気になって後で調べたら、岐阜県発の国産のブランドということを知り嬉しくなった。

e0316430_21402996.jpg



美術館のすぐ隣にはあの有名な兼六園もあり、ちょうど雪が積もった白い風景が美しく、寒かったので立ち寄ったお茶屋のご夫婦とも楽しい会話ができて、旅気分を味わえた。
金沢駅は3月14日にいよいよ北陸新幹線が開通することもあり、カウントダウンもしてあって、とても熱気が伝わって来た。夜は通りがかりで見つけたお魚の美味しいお店にも大満足したし、まだまだ観たいものを残してきたので、また必ず訪れたい素敵な土地だと思った。

e0316430_21404928.jpg

[PR]
by mikimics | 2015-02-23 22:00 | museum | Comments(0)