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Die Lange Nacht der Münchner Museen 2017, München

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10月半ばの土曜日、あるアートイベントを観に久しぶりのミュンヘンへ。年に一度開催される今年で19回目の„Die Lange Nacht der Münchner Museen 2017 (ミュンヘンの美術館の長い夜)”。
市内にある美術館やギャラリー、博物館、教会など約90の団体が19時から夜中2時までオープンし、15Euroの共通チケットで全て自由に鑑賞できるというもの。10分おきに来る5種類の無料シャトルバスも運行し、お天気に恵まれたこともあり、今年は2万人以上もの入場者数があったそう。

この夜のイベントはドイツの各都市でもあり、デュッセルドルフも同じく17回続く„Düsseldorfer nacht der museenが毎年春に開催されるが、美術館もそれに向けて普段とは違ったプログラムを開催したり、州会議場など普通は一般公開されていない建物にも入れるので、いつもはあまり美術館に出掛けない人への興味をうながす良い機会としても機能していて、毎回市民が大勢街中を歩き回る熱い夜となっている。



このイベントに、日本から展覧会開催のためいらしていた友人のアーティスト井上尚子さんも参加されていたので、彼女の個展を観にまずはMuseum Villa Stuck ヴィラ・シュトゥック美術館へ。ここは象徴主義の芸術家Franz von Stuck フランツ・フォン・シュトゥックの邸宅だった建物を現在は美術館としているもので、すばらしいアールヌーボー調の建築の中に彼の作品が展示され、同時に現代作家の企画展も開催されている。

尚子さんは「香り」をテーマに活躍される作家で、今回は„Hisako Inoue. Die Bibliothek der Gerüche (井上尚子展、香りの図書館)”と題された来年1月まで続く展覧会を開催中。彼女が各地で集めた異なるにおいの古書や、分析を元に作られた香りを鑑賞者も嗅ぎ、においから呼び覚まされる記憶や感情を体験するというもの。

ドイツ人ガイドによるガイドツアーでは、日本に古来からある香りの芸術「香道」を、ヨーロッパのワインテイスティング文化に例えて紹介されていて、ガラス製ケーキカバーに一点ずつ飾られた古書の展示も美しく、アンティークで上品な内装ととても合っていて、目を閉じてゆっくりと本の香りを愉しみ想いを馳せる行為は大変ユニークな時間だった。

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会場では鑑賞者が一人一人本を手にとって香りを体験するので、隣の人に「どうぞ」と本を渡したり、「このにおい私は好き」「私も!」などと自然と声を掛け合う瞬間が生まれる。「嗅覚」という普遍的な人間の感覚で、国籍も年齢も宗教も飛び越えて気軽に会話ができる。「香り」という抽象的なテーマを、このように誰でも参加できる印象的な展覧会の形にした井上尚子さんの力量に感動した。

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„Shelves in an old house” „Incense burning in the temple”
といったそれぞれの香りにつけられたタイトルにも井上尚子氏のセンスを感じる。

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本の香りを科学的に分析し元素分けにしたグラフも面白かった。

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すみずみまで趣向を凝らした内装の建築。

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Museum Villa Stuckを後にし、
その後さらにシャトルバスで移動して別の会場へ。バス内は毎回ほぼ満員、皆美術館を回るという同じ目的の人達だから、たまたま隣に座った人とも、何の展示を観てどこが良かったかなどと話すこともあり退屈しなかった。

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St.Lukas 聖ルーカス教会 Installation by Wang Te-Yu & Lin Wei-Lung (Taiwan)




最後に回ったHaus der Kunst ハウス・デア・クンスト(芸術の家)美術館はとても良かった。ナチス時代の建物なので、権威を象徴するかのように天井がとても高く、どっしりと重厚で特別感のある建築。世界的に有名なドイツの写真芸術家Thomas Struth トーマス・シュトルートの個展も見応えがあったが、 個人的にはイギリスの画家Frank Bowling フランク・ボウリングの回顧展がすばらしいと思った。

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数年前に改装されたアンティークな内装のバーGoldene Barもかなりクール。




翌日、デュッセルドルフに帰宅する前に Lenbachhaus レンバッハハウス美術館へ。ここも肖像画家Franz von Lenbach フランツ・フォン・レンバッハ侯爵の個人邸宅が美術館になったもので、全体の雰囲気や庭園がすばらしく、ドイツに住む前旅行で初めてここに来た時の感動は忘れられない。2013年春に4年間の改装工事の後に再オープンしてから、ようやく今回初めて訪問できた。もともとこの美術館の目玉の、表現主義のグループ「青騎士」コレクションのカンディンスキー、マッケ、マルク、ミュンターなどの作品部屋に加え、戦後~21世紀の現代美術のコレクションのセクションがかなり増築されていて、とても見応えがあった。

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広い吹き抜けのロビーでは、デンマーク人アーティスト、オラファー・エリアソンの天井から続く美しいガラスの立体作品が出迎えてくれる。 Olafur Eliasson „Wirbelwerk” 2012

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„Der Blaue Reiter” 「青騎士」コレクション

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Sarah Morris セーラ・モリス (アメリカ)の部屋

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Katharina Grosse カタリーナ・グローセ (ドイツ)の部屋

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やはり別格の扱い、Joseph Beuys ヨーゼフ・ボイス コレクション

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Franz von Lenbach レンバッハ コレクション

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庭園も秋の雰囲気で、またすてきだった。



Museum Villa StuckにしてもLenbachhausにしても、こういう元は芸術家個人邸宅で歴史的建造物でもある美術館というのが、デュッセルドルフにはあまりないので、深い歴史と文化の香りを感じるミュンヘンは、たまに訪れると同じドイツの都市でも新鮮で良い刺激を受けることが出来る。秋晴れの気持ちの良い週末で、また一つミュンヘンでの良い思い出ができた。

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by mikimics | 2017-10-30 22:11 | museum | Comments(0)