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日本の幼稚園体験 1

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今月実家近くのある幼稚園で、私達は初めて日本の幼稚園体験をさせていただいた。10日間という短い期間だったけれど、その間娘は一度も行きたくないと言わず、一日も休まずに元気に楽しく通うことが出来て本当に良かった。私も保護者として初体験だった日本の幼稚園。母娘共に新鮮な気持ちで多くのことを学べた貴重な濃密な日々となった。

日本語のヒアリングは問題ないと思うし、ドイツで日本人のお友達と遊ぶのにも慣れていたので、娘を日本人だけの場所に入れることについては、特に心配はしていなかった。最初は教室の中で随分緊張していたみたいだけれど、次第に皆の輪に入るようになり、2日目からは「いっしょにあそぼ。」と声を掛けてくれるお友達も出てきて、自由に自分で動くようになったらしい。

馴染んで来たのだなと私も感じたのは3日目のこと。その晩家の中で、娘が何か面白いことを思い出すかのような目をしながら「おはようございます!」と言っていた。「それ、幼稚園で毎朝言うの?」と聞くと、「あのね、おとうばんがね、さいしょに『おはようごさいます』っていうの。それでこんどはみんなが『おはようごさいます』っていうんだよ。」と私に説明した。彼女の口から「お当番」という言葉を聞いたのは初めてのことで、日本の教育体験をしているなと感じた。

この「当番制」というのはとても日本的だと思う。そういうシステムはもちろんドイツにもないことはないけれど基本的に個人主義のお国柄なので、幼稚園のうちから日々そうして何かの仕事を子供達に義務付けるということはあまりない。
今回の日本の幼稚園では、登園時に門の所で当番の年長の子供が数人待っていて、年少のお友達が来ると手を引いて園舎へと連れて行ってくれた。この光景も私には新鮮だった。しかも雨の日はタオルを持って、レインコートやかばんを拭いてくれる。まだ梅雨の季節だったので登園初日も雨だったのだが、「ぬれていませんか?」と言って年長の子が娘のリュックサックを拭いて出迎えてくれたのには、私も驚いてしまった。
こうやって小さいうちから、思いやりやおもてなしの精神を養っているのね…と感心すると同時に、こんな教育ができるのは日本だけかもしれないと思った。

ドイツの幼稚園では、朝登園したら園児は先生達一人一人と握手をして挨拶を交わすけれど、皆で一緒に「Guten Morgen!」ということはまずない。そして全員で共に行動することももちろんあるが、自然に出来た数人のグループでそれぞれの好きなことをする時間が一番長い気がする。ここからしてもう個人主義。それに対して日本の幼稚園は、個人の自由遊び時間と並行して、朝の挨拶したり、全員で歌を歌ったり、帰りの会をしたり「皆で一緒」に何かをする時間を要所要所で設けているように見える。娘はその違いを違和感というよりは未体験の面白いこととして受け取っていたようだ。


4日目の夜、布団の中でなかなか寝付けない娘と、ドイツと日本のそれぞれの幼稚園について話した。「日本の幼稚園にはとてもかわいいウサギがいる」「でもドイツの幼稚園には体操のお部屋があって、それが好き」などなど。そして「どっちもちょっとちがうけど、どっちもたのしい。」と彼女は言った。
それを聞いて、私が娘に体験してもらいたかったことはこれだったのかも知れないと思った。
言葉の習得が目的だけれど、それよりももっと大切なこと - 異文化を知りその多様性を受け入れること。それぞれの国のやり方を尊重して、その長所や違いを理解すること。娘に対して常々思うのは、どこでもやって行ける子に育って欲しいということなので、この体験がその素地を築くための一部分となれたらとても嬉しい。

そしてもちろん言葉の習得に関しても大きな進歩があった。娘は幼稚園で学んだ手遊び歌もいくつか家で歌うようになり、こんな風にすぐに記憶して再現できるその吸収力に感心した。滞在3週目には目に見えておしゃべりになり、一日中日本語で話していた。以前のブログに書いた、一月前に日本語で話したいけれど話せないジレンマを抱えた同じ子供とは思えないほどだった。滞在前はドイツ語の文章に簡単な日本語を入れる独日ミックス文章をよく話していたのに、ドイツに戻ってきた今はその逆の現象(日独ミックス文章)になっていて、またすぐに逆転するのは分かっているけれど、私としてはちょっと嬉しい。
日本での日々は正に日常のような非日常だったのだが、時々ずっと前からこうしているような不思議な感覚にもとらわれた。夕方のNHK子供番組を喜々として見続ける娘を見て、このまま半年もここにいたら、この子もすっかり日本の子供になるんだろうなと思ったりもした。


今回お世話になった幼稚園は、先生方も保護者も園児達も皆大変親切で、とても良い所だった。お別れに先生からすてきなプレゼント - 最終日のクラス写真と共に、先生と保護者の皆様一人一人からの寄せ書き - をいただいた。私達にとってこの夏の楽しい日本の思い出となった贈り物、娘も帰宅してから夫に「これ、にほんのおともだち。」と自慢気に見せていた。
「来年も待ってるね!」と大勢の方に声を掛けていただけたのがとても嬉しかったので、年中も年長も体験できるように再度計画したいと思っている。

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by mikimics | 2015-07-31 17:26 | life with kids | Comments(0)