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„ころころころ” 元永定正 作 絵

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妊娠してから今までに、随分たくさんの絵本を周囲の方達からプレゼントしていただいた。新しい絵本はもちろんだが、自宅での絵画教室に来てくれていた生徒のお母様達から、子供が大切にしていたという絵本や、日本の義姉がどっさり船便で送ってくれた姪達が読んでいた本など、実際に他の子供達が何度も読み返した古本も数多くいただいた。少し破った跡やいたずら描きされた箇所もあったり、それはそれでとても嬉しかった。絵本ってこうやって巡り回っていくものなのかなと思い、うちの子もそのうち必要なくなったら、大好きだった絵本を今後出会う年下の子供達に差し上げていきたいと思っている。そうやっていただいた絵本のうちの一冊を今日は紹介したい。

ころころころ” 元永定正 作 絵

確か娘が生後5ヶ月頃の時に初めて見せてあげた本だが、最初から彼女はこの本が好きでよく見入っていた。初めての育児は試行錯誤の日々で思いがけない様々な発見があった。そのひとつは、赤ちゃんは円でも球でも、とにかく「まるい形」が大好きということである。おっぱいの形に似ているというのもあるのだろうが、きっとこれは本能的なことなのだろうと思った。だから、たくさんの小さなきれいな色のまるが「ころころころ」と転がって行く様子を見るだけで、きっとぐっと彼らの心のツボにハマってしまうのだろう。ページをめくるたびに毎回鮮やかな美しい色彩と、パッと印象に残るシンプルな形が目に焼きつく。

特にストーリーはなく、小さなたくさんのまるが色々な道 - かいだんみち、さかみち、でこぼこみち、あらしのみちなどをころころころと転がって行く様子を描いた本。それだけに読み聞かせの方法によって印象が全く変わるらしく、娘は私が読む時はおとなしくにこにこしながら見ているが、夫が読むときゃっきゃ言って反応している。きっと私の「ころころ」は静かに転がって行く感じで、夫のはダイナミックで動きのある印象なのだろう。
10ヶ月頃、自分で好きな本を持ってきてごらんと言うと、一応ちゃんとお気に入りがあるようで、本棚のたくさんの本の中からいつも同じような数冊を持ってくるようになり、この本は必ずその中に入っていた。そして1歳半頃少しずつ話すようになってからは、ひとりで「こっこっこっ」と口ずさみながらページをめくるようになった。語感と絵柄がちゃんと結び付いていることに感心した。

著者の元永定正氏(1922-2011)は、前衛的な仕事をされていた現代美術家。この絵本で氏のことを知り、絵画作品を少し拝見して絵本の作風が納得できた。シンプルな構成だけれど、背景の処理など様々な画材が使われていて凝っている。他にも人気ある絵本シリーズがあり、抽象的な作品なので大人には賛否が分かれるが、子供には絶大な人気を誇っているようである。ぜひ他の本も見てみたいと思う。

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by mikimics | 2013-03-22 21:45 | picture book