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学校での子供達との出会い - ウクライナ人の女の子

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ロシアがウクライナに進攻して、今月末でもうすぐ2年になる。

こんなに長く戦争が続くとは誰が予測しただろう。この先どうなるのか、終戦に向かう様子がないままの日々、ドイツに住む避難民の方々を見かけることも、すっかり普通のことになってしまっている。


私が毎週仕事をしている近所の現地カトリック小学校の学童アートクラスにも、ウクライナ人の小2の女子が2人いる。昨年夏に初めて会った時には、彼女達はまだドイツ語もそれほど上手ではなかったが、会うたびに話せるようになり、生き生きと明るい表情を見せてくれるようになった。クラスが始まってひと月もしないうちに、私を見かけると嬉しそうに駆け寄って、腰に抱きついてきたりもするようになった。

こういうことをするのは、お国柄もあるかなと思う。もちろん個人差はあるけれど、ドイツ人の子も日本人の子も、家族以外の知り合って間もない大人に対して、こんなボディタッチをしてくることはあまりない。娘の小学校時代のクラスメートにいたロシア人の女の子もそうだった。クラス児童の母親達ほぼ全員は、彼女のバックハグを受けていた。

ロシア人もウクライナ人も、一人一人はこんなに人懐こくて、明るい笑顔を持っているのになと思う。


先週、2人のうちのひとりの女の子が、転居のために後期から違う学校に行くと伝えて来た。典型的な東欧女性の美しい顔立ちの女の子、明るい金髪、青い瞳、透き通るような白い肌、いつもアナ雪のエルサのように、長いブロンドをきれいに編みこんだ髪型をしていた子。

お母さんもあまりドイツ語が話せないので、どういう事情で違う土地に移るのかは分からないけれど、なんだかとても寂しい気持ちになった。もう再び会えることはないかも知れないけれど、どこにいてもかわいい笑顔を大切に、元気に過ごしていて欲しい。冒頭の絵は、ある日のクラスで彼女が描いたアクリル画。「Miki、見て見て!」と嬉しそうにしていたのが忘れられない。なんてエネルギーと喜びに満ちた絵なのだろう。


学校で仕事をしていると、多くの子供達との出会いがあるけれど、毎回今日のこの子達とはもう二度と会えないと思いながら接している。子供は日々成長し変化するので、翌月には好きな色もテーマも変わっていることも多い。

でも一緒に過ごした楽しい瞬間は作品を見ると思い出す。その記憶を胸に、たくさんの子供の笑顔を想い続けながら、これからも新しい出会いを楽しみに、そして感謝しながら過ごして行きたいと思う。




# by mikimics | 2024-02-05 18:46 | art class

バレンタインデー・ドイツの学校事情 (2023年)

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昨日は2月14日、バレンタインデーだった。
夫から私は春らしい花束を受け取り、また私も夫と娘にデュッセルドルフの老舗ショコラトリー Heinemann のケーキやチョコレートをプレゼントして、少しだけお祝いをした。

昨年度、娘はギムナジウムという中高一貫校に入学し、学校で経験した初めてのバレンタインデーのことをこちらに書いた。今年は6年生になり、昨年とはまた少し違ったことを言っていたので、またここにも書いておこうと思う。


今月初めに、学内で上級生達による「バレンタインデー用のバラの花注文受付」のお知らせがあった。
これは毎日更新される授業の代講等の情報アプリにも載っていたので、私達保護者も見ることが出来た。(冒頭の画像)
昨年はキャンディーも注文できたけれど、今年はバラの花のみとなっており、色は4色から選択し、贈りたい人に届けてくれるシステム。

バラの花は1本3Euroで、それぞれの色にはこのような意味がある。


ピンクは「Danke 感謝」
白は「Entschuldigung お詫び」
オレンジは「Freundschaft 友情」
赤は「Liebe 愛」


受取者に注文者の名前を知らせることも、知らせないことも、また個人的なメッセージを添えることも、自由に選べる。
ちなみにメッセージ付きにする場合は、+50セントになる。ちゃんと商売になっている。
なかなか口にできないお詫びの気持ちを、白いバラに託せるなんて、結構素敵なアイディア。
そして、用意してくれた上級生達が、それぞれの教室までバラの花を持って来て、「失礼します。ちょっと良いですか?」という感じで、一人一人名前を呼んで届けてくれたとのこと。

娘のクラスでは、7名くらいの子達が受け取っていたそうで、全員ピンクのバラだったらしい。
大体は、兄弟、姉妹間で贈り合っていたそうで、とてもほほえましい。ちなみに娘はなし。
他にませたタイプの男子が、一つ上の学年の女子からピンクのバラを受け取っていて、少し目立っていたそう。

放課後、他学年を見かけた時には、新入生の5年生は真新しいシステムだからか、結構友達同士で送り合っていた印象だったらしい。そして6~9年生(中学生の学年)はバラを持っている生徒は少なめだったのに対し、上級生(高校生の学年)は、結構バラ所持率が高かったそう。一人で赤いバラを9本も持っているモテモテ女子もいたそうで、「うらやましい?」と娘に聞いたら、「別に~」と冷めた返事をしていた。


夕食時、私はこのバラを贈り合うバレンタインデーに興味津々で、根掘り葉掘り娘に質問していたら、夫から少し呆れられたけれど、こういった小さな習慣の違いが私には本当に面白い。日本の学校では想像できない。

娘は今の学校であと7回バレンタインデーを経験することになるので、きっと私は毎年毎年、彼女を質問攻めにしてしまうのだろうなと思う。笑


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# by mikimics | 2023-02-15 20:19 | life with kids

2023年の年明け、ウクライナ人家族との夕べ

2023年になりました。いつも気まま投稿のブログですが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。


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今年の年明けに、とても貴重な時間を過ごした。

ロシアがウクライナに進攻してから、統計によると現在約17,000,000人ものウクライナの人達が国外に避難し、ドイツには百万人弱、ここデュッセルドルフにも1万人弱の避難民が住んでいるらしい。私が仕事をしている現地小学校でも、娘の学校でも、昨年春以降、ウクライナからの児童を時々普通に見かけるようになった。私達にもご縁があって、住まいをお世話したウクライナ人母娘がいる。

その母娘から、新年の挨拶も兼ねて、お世話になっているお礼にと食事に招待していただいた。
手の込んだ沢山のお料理は全てとても美味しく、心のこもったおもてなしに感動した。


そして驚いたのは、ウクライナからご主人がいらしていたこと。
クリスマス休暇のために何度も書類申請をして、やっと12月27日に許可が下り、ウクライナから52時間かけてバスを乗り継ついでドイツへ来て、大晦日の夜、新年になる4時間前に、9ヶ月ぶりに家族と再会できたと長いお話を語ってくれた。

この夜は誰も暗い話はせず、ただ和やかな夕べを楽しんだ。ご主人の趣味はダイビングだそうで、youtubeにアップしているこれまでのダイビングの面白い動画を色々見せてくれた。愉快で気さくなお人柄がうかがい知れて、皆で温かい食事を囲んで楽しくおしゃべりしていると、まるで近所の友人家族と普通に夕食を共にしている気分になったが、ご主人が履いていた軍服のズボンが、彼らの祖国の現実を思い出させた。

1週間少しドイツで過ごした後に、彼はまた母国に帰らないといけないと言っていた。
ご主人のご健康、またこの素敵なご家族のご多幸を願ってやまない。


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この夜、最初にいただいたお料理は「ボルシチ」スープ。

2022年7月に「ボルシチの料理文化」はユネスコの「緊急保護が必要なウクライナの無形文化遺産」へ登録された。
ボルシチは東欧料理というイメージはあったが、恥ずかしながら、私はウクライナ発祥ということは知らなかった。彼らも「皆、ロシアのスープだと思ってるけど、実はウクライナのものなんだよ。」と誇らし気に説明してくれた。

ビーツの色が美しい赤いスープ。たくさんの野菜を煮込んだ滋養のある味。娘もスプーンで一口目を飲んだ直後、目を見開いて「ん、おいしい!」と言っていた。この味と色は、彼女も私もきっと生涯忘れないだろうと直感した。

「赤」の色は、私も作品の中でよく使う。その色をどう塗るか考える時に、これまで各地で見て来た色々な「赤」を思い出す。今後はそれに、このボルシチの鮮やかな発色も加わることになるだろうと想像した。


私達は何度も乾杯をした。ウクライナ語の「Будьмо!(ブゥドゥモ)」ドイツ語の「Prost!(プロ―スト)」日本語の「カンパイ!」を何回も言い合い、グラスを鳴らした。

このご家族との出会いも、誰もが望まない「戦争」ということがきっかけではあったけれど、この貴重な新年の出来事は、家族がいて、住む場所があって、皆で美味しい食事とお酒が楽しめるという、当たり前と感じていたことが、いかにありがたく、大切なことなのかを、改めて私に知らせてくれた。



一日も早くウクライナが平和を取り戻すことを心から願う。


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(ウクライナのクリスマスは、ウクライナ正教会の暦で1月7日になるため、クリスマスツリーは年が明けても飾っています。ドイツのクリスマスは12月25日ですが、キリスト教の1月6日の東方三博士訪問の日までは、ツリーを飾ります。)

# by mikimics | 2023-01-08 21:53 | life

バレンタインデー・ドイツの学校事情 (2022年)

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2月14日はバレンタインデー。
日本では女の子が男の子にチョコをあげる習慣があるけれど、こちらでは主に男性からパートナーの女性に花束をプレゼントするスタイルが多い。
もともとはイギリス→アメリカへ広まった風習で、ドイツで祝うようになったのは約30年前からのことらしく、意外にも日本の習慣の方が歴史が長いよう。


今10歳の娘は昨年夏に小学校を卒業し、ギムナジウムという中高一貫校に入学した。
5年生から13年生まであり、合計9年間を過ごす学校。生徒の年齢も開きがあり10歳から19歳までが同じ校舎なので、登下校時に見かける生徒達の姿もとても大人っぽい子達が多く、小学校時代とは環境がガラッと変わった。

先週娘が「来週のバレンタインに、友達にプレゼント注文したの。」というので、
「注文?どうやって?」と聞くと、
休み時間にね、上級生のお姉さん達に注文できるの。先にお金を払うと、バラの花と飴をバレンタインデーに用意してくれるの。」

へぇ、なかなか素敵なことしてるな~、とほほえましく思った。なんでも親友の女の子と一緒に、別の親友の女の子のために、バラ1本3Euro、飴1つ1Euro、合計4Euroをワリカンして注文したのだそう。

この女子3人達はまだ5年生、10~11歳の子供達なので、「友チョコ」のような感覚なのだろうけど、高校生の年齢に当たる10年生以上の学年の子達にとっては、結構本気なプレゼントになるのだろうなぁと想像した。
「上級生のお兄さん達は、好きなお姉さん達にバラをプレゼントするのかしら?」と娘に聞いたら、「たぶんそうなんじゃない?」とまだまだ自分には関係ないことのように言っていた。
実際、小学校でも好きな人に告白する日のような習慣は全くないので、チョコがいくつもらえるか期待する男子達や、何度も練習して手作り本命チョコを作る女子達がいる、日本の小学校の方が、ずっと一大イベントの日だと思う。


コロナになってからはしばらくお休みしているが、以前土曜日に開講していた自宅での成人クラスアトリエに、インターナショナルスクールに通うティーンエージャーの女の子達が数人来ていた。娘の友達とはまた違った、少し大人な年齢の彼女達との会話はとても楽しかった
アメリカ系の学校だったからか、バレンタインデーは結構盛り上がるという話をしていて、大抵は男子がバラの花束を好きな女子にプレゼントすると聞いて、わぁ~素敵~!と思った。


日本のバレンタイン・チョコは、もともとはチョコレート会社の商業戦略から始まったものと言われているけれど、ここまで長く続けば、もうこれは立派な文化の一つだと私は思う。
お国事情でそれぞれ習慣は違うけれど、全世界で数々の素敵なドラマが生まれるであろう一日を想って… ❤Happy Valentine!❤


# by mikimics | 2022-02-14 04:45 | life with kids

„Terunobu Fujimori - Ein Stein Teehaus und andere Architekturen” Raketenstation Hombroich, Neuss


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デュッセルドルフから車で20分ほどの隣町 Neussノイス に、Museum Insel Hombroich インゼル・ホンブロイッヒ美術館というすばらしい野外美術館がある。その美術館周辺は他のアート施設でも構成されていて、近くに安藤忠雄氏建築のLangen Foundation ランゲン美術館、またRaketestation (ロケットステーション)という、旧NATO軍のロケット発射基地のホールや防空壕だった場所もあり、現在アーティストや学者達の住居やアトリエ、研究の場として活かされている。

Covid-19の影響で、長らく閉鎖されていたドイツ国内の美術館も、いよいよ今週から少しずつ再オープンされた。このRaketestationでは現在日本人建築家、藤森照信氏の展覧会「Ein Stein Teehaus und andere Architekuturen 茶室と建築一石庵」が公開されている。本当は昨年4月が展覧会オープニングで、藤森氏も来独予定だったのに、残念ながら全てキャンセル延期となり、9月から開催されたが、12月半ばよりまたロックダウンで閉館、そしてこのたびまた再開の運びとなった。


私達は幸運なことに、昨年9月のオープニングに鑑賞することができた。
一度見たら忘れられないユニークな形の茶室が屋外に設置されており、別館の屋内展示には、茶室の設計図、藤森氏のこれまでの日本での仕事などが紹介されている。


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そしてこの茶室を理解するための文章が、壁に鉛筆でさりげなく書かれていて、思わず微笑んだ。

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「茶室を建築する上で必要なのは、日常生活から切り離された独立した世界を創るということである。そのための重要な鍵は、地上からこの茶室を浮かせることであった。」

この文章を読んでから、実際に茶室に入れたのは幸運だった。


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細い階段を昇って、地上空間に入ると、そこは不思議な浮遊感がありつつも、夫と二人で入ったということもあったと思うが、妙にしっくりと落ち着いた気分になれた。その時はほんの5分ほどしかいなかったけれど、茶室を出て階段を降りると、また下界に戻ったような感覚を得た。私は茶道の心得は皆無と言っていいほどの初心者だが、茶室という異空間への短い旅を少し理解できた気持ちになれた。
ちなみに、予約をすれば茶室でお茶もいただけたそう。ただ残念ながら現在そのサービスはコロナ対策のため中止。


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また藤森氏は「焼杉」という、杉の板を3枚三角形に合わせて、内側に火を入れて表面を焼成し、焼き色を付ける日本の伝統的技法を施した板を使用されている。この茶室に使われた焼杉の板は、ここノイスでご自分達で手を掛けて制作されたそうだ。杉はドイツにはないので、Fichten (トウヒ) や Tannen (モミ) の木材で代用されたそうである。


展覧会は今週~2021年4月18日(日)までの金・土・日曜日、屋外の茶室は日曜日のみ12時~17時に開館されるので、お天気の良い週末のお出かけには是非お勧めできます。
また私事になりますが、夫は昨年よりこの美しい建築木材の「焼杉 Yakisugi」を日本より輸入し、ヨーロッパで販売する会社を始めております。ご興味のある方はこちらをご覧下さい。


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# by mikimics | 2021-03-14 16:18 | museum